おこがましい(オコガマシイ)
「おこがましい」とは「失礼な態度や馬鹿馬鹿しい言動など身の程をわきまえない事」です。古語的表現の敬語であり、実際にはやや複雑なニュアンスとなる「おこがましい」なので、正確な意味というよりも感覚的に覚えている人が多いのではないでしょうか。自分を遜って「おこがましい」が多くなり、特に尊敬する人や上司などが相手の場合は自然と使う頻度が増えてしまいます。
おこがましいの意味とは
「おこがましい」の意味は以下の通りとなります。
(1)身の程をわきまえない。差し出がましい。生意気。
(2)馬鹿馬鹿しい。馬鹿げている。
(3)ビジネスシーンや目上の立場と接する時に自分の地位や能力を超えて不適切な行動を取る事。
(4)漢字表記「烏滸がましい」「痴がましい」も同義。
「おこがましい」は漢字で「烏滸がましい」「痴がましい」と書く事もありますが、基本的には平仮名となります。そして「身の程をわきまえない」や「馬鹿馬鹿しい」や「みっともない」という意味ですが、その多くでは仕事などで自分を謙遜する際に用いる表現となります。例えば、職場での上司や営業先での相手の方が立場が上なお客さんと会話をしていて、何かを勧められても自分には不適切・生意気・失礼などの意味を込めて丁寧に拒否をする際に「おこがましいです」となります。より正確には最初は感謝などを述べた後に拒否する形で「大変ありがたいですが、私にはおこがましいので…」「私が言うのもおこがましいですが…」や、相手へ窺う際に最初から使って「おこがましいお願いですが…」といったようになります。これら以外で同僚や友人相手に使う場合はもっと自然な謙遜や拒否として、馬鹿馬鹿しいのをオブラートに包むように「俺にはおこがましくて…できない」といった形になります。よって、様々な場面で使われ相手の立場によって微妙に意味合いやニュアンスが異なるのが「おこがましい」なので、その状況や関係性や文章なら前後の文脈なども意識する必要があります。
おこがましいの由来
「おこがましい」の由来として、古来から使われる表現の「をこ(おこ)」と「がまし」を合わせて誕生したとされています。文献としては平安時代中期の創作物語「源氏物語」などに文言が記されています。
おこがましいの文章・例文
例文1.妻の願いから2世帯住宅で暮らすようになったが、共有する玄関にはお義母さんの愛犬ドーベルマンが鎮座しているので機嫌を損ねないように、ローンの大半を払う亭主の俺は何故かよそ者だから毎日そーっと「おこがましいですが失礼します」と小声で言いながら前を通り過ぎる。
例文2.10歳も年下の上司からゴルフに誘われ、「私から断るのは大変おこがましく恐縮ですが、実はその日は用事がありまして…」と言ったら、「誰があんたみたいなオッサンを本気で誘うんだよ!」と本人や腰ぎんちゃく達に大笑いされた。
例文3.姉さん女房の妻への連絡にも気を遣って「おこがましいお願いですが…」とメッセージを打っていたら、突然涙がこぼれてこんな女と結婚するならバカにされても生涯独身を貫けば良かったと後悔した。
例文4.「そんなおこがましい事は出来ない」と記者から強請られたのを拒否した某政治家だが、その数分後には1枚の写真を見せられ素直に提案を受け入れた。
例文5.どの政治家も増税するのはおこがましいという気持ちが一切ないのだから、それは庶民感情など1ミリも理解できず狂って暴走するのだろう。
「おこがましい」を使った例文となります。
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おこがましいの会話例
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あのー、おこがましいお願いですが…、今月の小遣いをなんとか後1万円多くしてもらえないでしょうか?
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あなたは小遣いを増やして欲しい時だけ敬語になるのよねー。それで何に使うの?
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それが同僚に借金をしていまして…、返済があるからどうしても1万円多くして頂けないと、またキャッシングをご利用する形になってしまいます。どうか、お慈悲とご勘弁を。
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その方法があるなら、そうしなさいよ。
妻に頭を下げ不慣れな敬語を使い小遣いアップをお願いする夫という内容です。
おこがましいの類義語
「おこがましい」の類義語には「ちょこざい」「小賢しい」「失礼」「厚顔」「しゃらくさい」「わがまま」「勝手」「自分勝手」「無礼」「不躾」「不行儀」「非礼」などの言葉が挙げられます。
おこがましいの対義語
「おこがましい」の対義語には「慎ましい」「しおらしい」「敬意」「いんぎん」「素直」「素晴らしい」などの言葉が挙げられます。
おこがましいまとめ
立場などが上の者に対して自分をわきまえない言動や態度を取ったり、馬鹿げているという意味になるのが「おこがましい」です。実際にはビジネス現場でわきまえない事をしないように丁寧な表現として「おこがましくて」を使う形が多いです。失礼な事をお願いするのを恐縮や謙遜から「おこがましいお願いですが…」とするのがマナーや常識なところがあり、また日本らしい必要以上に相手を立てる便利な言葉という側面もあります。