にわか(俄か)
にわかとは2つの意味があり、一つ目の意味は本来は物事が急に変化、一時的である事を指します。二つ目は若者言葉として、大した知識や経験もないのに得意げに物を語る人を嘲笑する意味を持っています。二つ目の意味については、ネットスラングとして若者の間で使われるようになりました。「にわか」という言葉は、本来「にわか雨」というように唐突な物事の変化を表す意味を持っています。この記事では、「にわか」という言葉が本来持っている意味、また現在若者たちの間で使われている意味、双方を比べてみました。
にわかの意味
まず、「にわか」という言葉の本来の意味を見てみましょう。にわかとは「物事が唐突に変化すること」「一時的なこと」を表す言葉です。にわか雨はさっきまで晴れていたのに唐突に降ってきます。土砂降りになったかと思うと、すぐに止んで晴れ間が見えてくることもあります。「唐突」「一時的」という2つの特徴を兼ね備えていますね。漢字では「俄か」と書きます。
現在の若者たちが使う時はどのような意味を持っているのでしょうか。若者達の間では、この言葉は人を揶揄する際に使われます。例えば、大して知識もないのに、ある分野や作品、人物について得意げに語ったり、ファンを名乗ったりする人に対して使われます。「にわかファン」という言い方もあります。このような人たちの特徴は、その分野や作品、人物そのものに興味があるというより、単に流行に乗りたいだけという動機があること、またすぐに興味を失って次の対象に目移りすることです。その分野や作品、人物に思い入れがある人にとっては、そのような軽い気持ちでファンを名乗られることが我慢ならないのでしょう。ネットスラングとして使う場合は、漢字で書くことはありません。ひらがなか、カタカナで表記します。
にわかの由来
若者の間で「にわか」がいつごろから使われ始めたのかはわかりませんが、日本語としての由来は江戸時代にさかのぼります。かつて「俄狂言」(にわかきょうげん)という種類の即興芝居が親しまれていました。これは路上や宴席で唐突に素人が始める芝居のことで、「茶番」とも呼ばれました。この俄狂言が転じて、今のにわかという言葉になったのです。俄狂言は江戸時代にはじまり、明治時代までなされていたようです。
にわかの文章・例文
例文1.一人旅をしようとにわかに思い立つ
例文2.にわかに事態が動き出した
例文3.あの人が不正を働いていたなんて、にわかには信じられない
例文4.オフ会に行ったら、にわかばかりで嫌気がさした
例文5.にわかファンに作品のことを語ってほしくない
例文では、一般的な日本語としての使い方と、ネットスラングとしての使い方を両方説明してみました。ちなみに、「にわかに急変する」は二重の意味になっているため、間違っている表現です。
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にわかの会話例
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最近「投票に行こう!」とかいってツイッターでも呼び掛けてるけど、結構にわかも多いんだよな。
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どういうこと?
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政治に詳しくないなら詳しくないでいいんだけどさ、「あの政党はこうだ」とか知った風をして、突っ込まれると全然知らないやつらがいるんだよ。
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ああ、なるほど。自分の意見を持っていない人たちね。
上記の会話では、選挙の「にわか」について話しています。にわかと呼ばれてしまう人たちは、自分をしっかり持っておらず、流行に流されやすい人が多いかもしれません。
にわかの類義語
にわかの類義語としては「出し抜け」「突如」「唐突」「不意」などが挙げられます。いずれも急激に物事が始まることを表します。ネットスラングとして使われるにわかの類義語は、「新参」「知ったかぶり」「ミーハー」などが適当かもしれません。
にわかの対義語
にわかの対義語は「緩やか」「徐々に」「段階的」などの時間をかけて変化をしていく言葉があてはまります。若者言葉のにわかの対義語としては「古参」「コア」などがあげられるでしょう。
にわかまとめ
ここまで、にわかの二通りの意味について見てきました。日本語は変化をする言語であり、時代によって持つ意味やニュアンスが異なってくる非常に面白いものでもあります。変化を楽しみながら、若者についていくつもりで「最近のにわかは…」なんて意味を間違えて使ってしまい、「お前がにわかだ」と言われないように気をつけましょう。