べく杯(べくはい)
「べく杯」とは「おかめ・ひょっとこ・天狗の大きさが違う盃に酒を入れて飲み干すという、酒好きが歓喜する高知県の伝統的なお座敷遊び」です。言葉で説明するのは分かり辛いですが、要するに天狗などの盃に酒を入れて飲み干す遊びが「べく杯」で、おかめ盃以外は形がいびつなので飲んでいる最中は下に置けません。ですから早く飲むしかなく、それが大変可笑しくて面白いのです。
べく杯の意味とは
「べく杯」の意味は以下の通りとなります。
(1)ひょっとこや天狗など変わった形の盃を使った酒飲み方法で、お酒を飲み干さないと零れてしまうので盃を下に置けないという酒文化の地である高知県ならではのお座敷遊び。
(2)おかめ・ひょっとこ・天狗の盃セットである「べく杯」を使った高知県や土佐で古くから伝わる酒席の余興で、おかめの盃以外は酒を飲み干すまで下に置けない苛酷さが楽しさを倍増させる。
(3)「座興杯」も同義。
「べく杯」は漢字表記「可杯」で、高知や土佐文化の伝統的なお座敷遊びの一つです。要するに酒を飲む席で盛り上がる為に「しばてん踊り」や「菊の花」などの遊びがいくつも発明され、その一つが「べく杯」です。「べく杯」は遊びであると同時におかめ・ひょっとこ・天狗の盃セットの名称でもあり、この「べく杯」はそれぞれ盃の大きさが違うので、参加者はどの盃を手にするかでまず最初に盛り上がります。ルールとしては始めに駒を回し、止まった絵柄の盃に酒を入れて飲み干すというものです。おかめの盃は最も小さくそして形状的に下に置けますが、ひょっとこと天狗の盃は大きくていびつなので飲み干さないと下に置けません。ですから連続でひょっとこや天狗を選ぶとかなり大変で、それが酒席で盛り上がる要因となっています。今ではお座敷の遊びであると同時に、「べく杯」セットは高知の土産物屋や酒造店で販売される定番商品として、土佐の酒文化や歴史を感じさせる事からも人気になっています。
べく杯の由来
「べく杯」は高知県を発祥とするお座敷遊びですが、誕生した時代などは残念ながら正確には分かっていません。お座敷遊びそのものは江戸時代中期に始まったと言われているので、同時期かそれ以降ではないかと推測できます。
べく杯の文章・例文
例文1.親父はべく杯がとにかく大好きで、それがあまりにも高じて自宅の部屋をべく杯グッズで埋め尽くしている有り様だ。
例文2.高知はべく杯などの酒席遊びがあるので、見知らぬ者同士でも打ち解けるのは早いらしい。
例文3.昨日はべく杯をやり過ぎて早速二日酔いだ。
例文4.仕事中は一言も話さず険悪そのものな俺と同僚だが、飲み会では無二の親友のようにべく杯で盛り上がり、また会社になると互いに先祖代々の敵同士みたいに装うのだから困ったものだ。
例文5.下戸なのでコーヒーやファンタでべく杯をやってもらえればとても助かる。
高知の酒席遊び「べく杯」の例文となります。
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べく杯の会話例
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あー、頭が痛い。完全な二日酔いだ。
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私だって二日酔いの。だいたい、途中までは韓流ドラマを観ていたのに、何でべく杯なんてやる事になったのよ。
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そっちが少しお酒を飲もうと言うから、土佐っ子としてはべく杯でもやろうかと誘うだろ。
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こっちだって、一応はべく杯は何って聞くでしょう? それでやり方を説明されたらこのざまよ。もういいから早く帰ってよ。
一夜の関係になる予定だった男女が「べく杯」で二日酔いになるという内容です。
べく杯の類義語
「べく杯」の類義語には、「菊の花」「しばてん踊り」「献杯」「箸拳」「トラ拳」「三府拳」などの言葉が挙げられます。
べく杯まとめ
「べく杯」は高知県の伝統的なお座敷遊びで、お酒を飲んで楽しむ大人の余興です。駒を回して大きさが違うおかめ・ひょっとこ・天狗の盃のどれになるか選び、参加者はその杯に入った酒を飲み干さないといけない決まりです。おかめが盃としては一番小さく飲み干す前に下へ置けますが、他の二つは大きくて形状的にも下に置けないので、かなりきつくなります。そんな盃選びの緊張感やだんだんと酔っぱらっていく様なども含めて、酒好きが大いに盛り上がる遊びが「べく杯」です。