エゴ(Ego)
「エゴ」とは「誰しもが持ち合わせる自我や自己欲求であり、エゴイズム(利己主義)やエゴイスト(利己主義者)の事」です。友人や同僚などで我儘な人を「エゴが強い」と評しますが、一方では有名人やスポーツ選手はインタビューなどで自らを「エゴが出る」「エゴがないとダメ」とポジティブに使うケースも多いです。もちろんバランスや時と場合によりけりですが、「エゴ」を「感情」や「アピール」と解釈すれば、ある程度は強く出さないと厳しい世界を渡り合えないのでしょう。それでは日本では不快な意味合いとされてしまう事も多い「エゴ」についての解説となります。
エゴの意味とは
「エゴ」の意味は以下の通りとなります。
(1)自己。自我。
(2)認識や意欲などの主体として他と区別される自分。
(3)自分本位の考え方や態度。強い自己主張。
(4)「エゴイズム」「エゴイスト」「エゴイスティック」の略。
「エゴ」は簡単に言うなら「自己」であり「自分自身」ですが、これを哲学や心理学で分けると途端に難解な言葉へと変化します。まず、「エゴイズム」(egoism)では「利己主義」となり、自分が絶対的な中心であり最優先にするので他人や社会の利益は二の次三の次とします。究極的な自己中や自分第一主義が「エゴイズム」で、現在なら空気が読めない存在や嫌われ者の代名詞ともなっています。次に「エゴイスト」(egoist)は「利己主義な人」「利己主義者」で、要は「エゴイズム」と同じなのですが、自分勝手な人を「エゴイスト」と呼びます。私見としては、有名人など世間に名が通っている人の「エゴ」を強調する際には「エゴイスト」と表現する傾向があると思いますが、「エゴイズム」でも違いはありません。これらは哲学的な立場での「エゴ」とされ、所謂一般的な「エゴ」とも言えます。次に心理学や精神分析の概念としての「エゴ」は、精神分析の創始者とされるオーストリアの精神科医・ジークムント・フロイトが提唱するものがベースとなります。これは非常に複雑なのでかなり簡略すると、人の心は自我である「エゴ」、超自我ともなる「エゴ」の一部であり道徳部分の「スーパーエゴ」、そして第三者の立場となる「イド」の3つから出来ています。この3つが通常はバランスを保っているが、何かしらの切っ掛けで崩れると犯罪など問題行動に走るのです。要するに先ほどの哲学的な「エゴ」も含めて、多少偏った自己中心的な人でも現実社会と向き合い適切に行動をするものですが、しかし、一部の犯罪者なども一緒くたにして「エゴ」でまとめるのは危険な考えなので、「エゴが強い」「エゴがある」と短絡的にするのを避ける為にも、精神分析としては3つ分けて防波堤を設けたのでしょう。したがって究極的には「エゴ」が強い人も実は一つの個性で、「エゴ」が弱い人と本質的には違いはないのです。
エゴの由来
元々はラテン語の「エゴ」(「私」という意味)が、1923年に精神科医・フロイトが発表した精神分析の論文「自我とエス」などによって、自我としての「エゴ」として世界に広まっていったと推測できます。
エゴの文章・例文
例文1.エゴイストな兄の影響を受けてか、自分もクラスでは自分を最優先する態度や言動ばかりをして周囲からは浮いている。
例文2.政治家はエゴイストの集まりだが、そんな傲慢な連中に忠誠を尽くす官僚も相当なドMの頭脳集団だ。
例文3.一方では総理を守る為に公文書を改ざんし、検察はこんな時こそ思う存分にエゴを発揮して不正を正すべきだが何もせずに、日々パーティー三昧でシャンパンを飲み干し、軽罪には目くじらを立てて法の正当性や精神を訴えてエゴを満たし、日本は素晴らしい国になっているとどこかのカルト集団のように唱える。
例文4.エリートな医学界の権威達が今日もエゴ全開でコロナの恐怖を血眼で訴えるが、所詮は欧米の対策・方針に服従するだけで、優秀な翻訳家がいれば不必要なのではと思えてならない。
例文5.ネット掲示板は強烈なエゴの持ち主ばかりだが、不思議な事に外に一歩出ると誰も彼も静かで大人しく空気が読める好青年ばかりで、そのギャップこそ勤勉な日本クオリティだ。
皮肉交じりに「エゴ」を使った例文です。
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エゴの会話例
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最近はこのお笑い芸人ばかりがテレビに出ているな。事務所から相当期待されているのか。
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でも、ちょっとエゴが強すぎない、このコンビ?
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そうだな。俺も苦手だけど、世間的には丁度良いんだろ。
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世間じゃなくてテレビ局的にはでしょう。
テレビ番組を観賞中の夫婦の会話となります。
エゴの類義語
「エゴ」の類義語には、「ナルシスト」「ナルシシズム」「利己」「私利私欲」「自己中」「利己主義」「我儘」「利己主義者」「ミーイズム」などの言葉が挙げられます。
エゴの対義語
「エゴ」の対義語には、「他我」「非我」「アルトゥリスト」「フィランソロピスト」などの言葉が挙げられます。
エゴまとめ
「エゴ」は「自分自身」「自我」といった意味を持ち、エゴイズムやエゴイストを略した言葉の事です。自分を最優先にして他人の事を考えないのが「エゴ」ですが、一方で精神分析では人間の心は「エゴ」「スーパーエゴ」「イド」から出来ていてバランスが崩れると問題行動に発展すると説いています。