カニバリゼーション(cannibalization)
「カニバリゼーション」は英語の元の意味を知っている人にとっては恐ろしい言葉です。しかし、現代でカニバリゼーションという時にはマーケティング用語として使われます。あまり一般的に使う言葉ではありませんが、ビジネス界で聞くことのあるカニバリゼーションについて、意味を解説していきます。
この記事の目次
カニバリゼーションの意味とは
ビジネス界でカニバリゼーションというと「自社・あるいはグループ企業の商品同士が売上・流通を競い合ってしまう状況」を意味します。
どの企業も新商品を開発するわけですが、理想としては元の商品と新商品がどちらも売れることです。しかし、新しく開発した商品が「機能が似ている」「価格が近い」などの理由で元の商品の売上を下げてしまうことがあります。この状態がカニバリゼーションです。
例えば、一つの企業内で別々の事業があり、それぞれが戦略をもって商品を開発する中で、互いの顧客ターゲットが重なってしまうと、カニバリゼーションが起こってしまいます。その場合は商品の差別化を明確にしたり、商品の流通をコントロールしなければなりません。
また、むしろ企業が戦略的にカニバリゼーションを起こす場合もあります。一つの地域で自社の商品同士を競わせることで、他者の商品に展開する隙を与えないなどです。
カニバリゼーションの由来
カニバリゼーションの元の意味は「共食い」あるいは「人食い」を指します。少し恐ろしい言葉ですね。これが由来になり、「自社の商品の食い合い」を意味する言葉になりました。
カニバリゼーションの文章・例文
例文1.トヨタは意図的にカニバリゼーションを起こし、シェアを獲得した
例文2.無秩序なカニバリゼーションを抑制する手立てが必要だ
例文3.カニバリゼーションにより事業を見直す
例文4.他社のカニバリゼーションに付け入ってシェアを奪う
例文5.戦略的にカニバリゼーションを起こしていく
フランクに使う場合は「カニバリになるよ」「カニバってるな」などとも言うようです。
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カニバリゼーションの会話例
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ようやく、向こうのラインのマーケッターとのミーティングが終わったよ。そろそろ収拾がつきそうだ。
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このままカニバリゼーションが続いていたら、あなたのクビも結構危なかったわね。
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確かに、俺の見立てが甘かった。しっかりと商品の差別化はできていると思ったんだが、顧客ターゲットもずらすべきだった。思った以上にあっちのラインを食ってしまったな。
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向こうのボス、しばらくお冠でしょうね。
企業はシェアを争って食うか、食われるかの戦いを続けています。専門の人物でなければこのような会話もなかなかないでしょうが、事業を展開する責任は重大です。
カニバリゼーションの類義語
カニバリゼーションの類義語は、そのまま翻訳ですが「共食い現象」が挙げられます。いずれにしろ、ビジネス界独自の表現です。
カニバリゼーションまとめ
ここまでカニバリゼーションについて見てきました。
普通に会社に勤めている分にはかかわらない分野かもしれませんが、知っておくと今後自分の地域を見た時に、違った目でビジネスを見ることができるかもしれませんね。