クリーピング・インフレーション(Creeping Inflation)

「クリーピング・インフレーション」とは「景気に関係なく年利数%の緩やかな物価上昇を続ける状態」です。インフレを良く取るか悪く取るかはそれぞれですが、物価が上がり人々の給料も増えればそれは「良いインフレ」であり、あまり問題にはなりません。しかし、物価は上がるのに給料が下がれば不満を覚えるでしょう。ですから経済成長には必須なインフレを「良いインフレ」にしようと政府は奮闘をしていますが、これが非常に難しいのです。それではインフレの一種「クリーピング・インフレーション」の解説となります。

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クリーピング・インフレーションの意味とは

「クリーピング・インフレーション」の意味は以下の通りとなります。
(1)好景気や不景気に関係なく物価が少しずつ上がり続ける状態。
(2)経済用語で、景気停滞か不景気でも失業率が上昇し、物価が年利約2〜3%で緩やかに上昇をする状態を指す。
(3)「クリーピングインフレ」「マイルドインフレーション」も同義。
”クリーピング”は「忍び寄る」「はい回る」「鈍い」「徐々に忍び寄る」、”インフレーション”は「インフレの正式名称」「長期間に渡り物価が上昇する現象」「通貨量が財貨量よりも増え貨幣価値が下がり物価上昇が続く現象」で、直訳では「忍び寄るインフレ」とも呼ばれる緩やかな物価上昇が「クリーピング・インフレーション」です。反対となる物価が持続的に下落し不況となるのが「デフレーション」(デフレ)です。俗に言うインフレとは「ギャロッピング・インフレーション」と「ハイパー・インフレーション」と今回の「クリーピング・インフレーション」の3つに分類されます。
 ㈰クリーピング・インフレーション…緩やかな物価上昇で先進国が陥るインフレ
 ㈪ギャロッピング・インフレーション…物価の急速上昇で南米各国等の途上国が陥るインフレ
 ㈫ハイパー・インフレーション…短期間の物価急上昇で混乱に陥った途上国が陥るインフレ

さらに、そもそものインフレには原因に応じて2つに分類できます。
 ㈰ディマンド・プル・インフレーション…「需要インフレ」と呼ばれる消費や財政支出など総需要が総供給を上回った状態
 ㈪コスト・プッシュ・インフレーション…「供給インフレ」と呼ばれる人件費や材料費などコストが増えて物価が上昇する状態

日本は先進国なので現状は「インフレ」=「クリーピング・インフレーション」とも言え、これは経済成長に伴う「良いインフレ」ともなるのですが、それには好景気や景気回復で所得上昇も反映されないと意味がありません。しかし、現状では物価だけが上がる「悪いインフレ」となっていて、「クリーピング・インフレーション」の恩恵は得られず逆に物価高で庶民の生活は一層苦しむ事になっています。インフレに陥ると、政府なり中央銀行の金融政策でコントロールするのですが、近年は諸問題が複雑に絡んでいるので金融の専門家達ですら互いに真逆の策を提唱し合うほどなので、抜本的な解決策がなく成り行きに任せるしかないのが現状です。

クリーピング・インフレーションの由来

「クリーピング・インフレーション」は1957年頃の不況で苦しむアメリカで誕生した言葉となります。当時のアメリカは不況でも物価は上がる「スタグフレーション」の状態で、当初はマスコミが使い始めそれが経済用語として定着したと言われています。

クリーピング・インフレーションの文章・例文

例文1.クリーピング・インフレーションだろうとデフレだろうと、私の給料は10年間据え置きで、今後も定年まで据え置きかリストラのどちらかで明るい未来がないのは確定している。
例文2.日本の場合は円安でないと大企業が利益を生み出せない構造的な問題を抱えているので、今後はクリーピング・インフレーションとならずギャロッピングやハイパーインフレに陥る可能性も真剣に検討すべきだ。
例文3.欧米などは日本と比べると理想的なクリーピング・インフレーションとなっているが、もしそこから不景気になったら日本はさらに反動の悪影響を受けそうだ。
例文4.コロナとクリーピング・インフレーションのダブルパンチで家計は苦しむが、なぜ裕福な子供がいる世帯に給付金を出すのか理解に苦しむ。
例文5.保守政権支持者にとっては、クリーピング・インフレーションだろうが公文書改ざんに統計不正をしても全て問題無しどころか、退屈な日々にニュースを与えてくれてよくぞやってくれたと感謝しているのだから、頭がお花畑で幸せなのは何よりだ。
政府の対策等を皮肉って「クリーピング・インフレーション」を使った例文です。

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クリーピング・インフレーションの会話例

  • 質問者アイコン

    あれ、今月の電気代高くない?

  • 回答者アイコン

    電気だけじゃなくて、ガスや水道料金も上がっているわよ。それに小麦やマヨネーズに冷凍食品、それからガソリン代もね。

  • 質問者アイコン

    これってクリーピング・インフレーション? 感覚的にはハイパーインフレに近いんだけど。

  • 回答者アイコン

    少子高齢化や失業などで景気がずっと悪くて、そこにコロナと物価上昇でしょう。もう、日本は終わりよ。地方経済は冷え込んでいるのに、ニュースは相変わらず渋谷のスクランブル交差点だけ映してコロナでも人が多いって騒いで…、物事全体や俯瞰で見る事が出来ないのよね。

物価高で苦しむ地方在住者の本音となる男女の会話です。

クリーピング・インフレーションの類義語

「クリーピング・インフレーション」の類義語には、「通貨膨張」「インフレリスク」「コストインフレーション」「ソーシャルインフレ」「賃金インフレ」などの言葉が挙げられます。

クリーピング・インフレーションの対義語

「クリーピング・インフレーション」の対義語には、「ハイパーインフレ」「デフレ」「デフレーション」「デフレスパイラル」「輸入デフレ」「資産デフレ」などの言葉が挙げられます。

クリーピング・インフレーションまとめ

「クリーピング・インフレーション」は物価が上昇するインフレの一種で、好況不況に関わらず物価が年利数%の緩やかに上がる状況です。本来は景気が良い時に起こる「クリーピング・インフレーション」ですが、近年は必ずしもそうとも言い切れず、日本のようにGDPや所得が据え置きでも物価だけ上がってしまうケースもあります。そして、「ギャロッピング・インフレーション」と「ハイパー・インフレーション」も合わせた3つが一般的な「インフレ」で、反対は「デフレ」となります。

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