ステる(すてる)
総合病院でお仕事をされている看護師の方、老人ホームで働いている介護士の方で「この業界用語って、一体何なの?」とハテナマークを感じたことはありませんか。今回はまさかのときに知っておきたい、ステるの言葉の深い意味や使用例についてチェックしていきたいと思います。言葉の知識を広げて、自信あるお仕事ライフを目指してくださいね。
ステるの意味とは
ステるには「患者さんが死亡する・あの世に旅立つ」という、やや切ない意味があります。初めてこの意味を知った方にとっては「まるでゴミのポイ捨てみたいな言い方、不謹慎すぎるのでは?」と不快感を抱く方もいるかもしれません。けれども退院を夢みて治療を受けている患者さんが多く入院している総合病院などでは「死ぬ・亡くなる」を予感させるキーワードを連呼するのは、かえって気遣いのない発言ととられることがあります。周囲の患者さんやそれを見守るご家族の気持ちに寄り添って生まれたのが、ステるに代表される医療ワードなのです。
ステるの由来
ステるは【Sterben】というドイツ語から生まれた言葉です。ドイツ語でSterbenとは、人が死ぬ・亡くなるという意味があります。この言葉の一部をキャッチしたのが、日本語の省略語・ステるという言葉です。医療現場や介護現場のみで使われる言葉で、一般的には浸透していない業界用語のひとつです。
ステるの文章・例文
例文1.A病棟の林さんが、明け方にステるしました
例文2.ステる危険があるため、今すぐ救急車を呼んでください
例文3.手術後ステるリスクは、どのくらいありますか
例文4.ステる患者さんを見送るのは、とても辛い心境だ
例文5.心拍数が低下している、ステる可能性があるな
多くの命を扱う、救命病棟。1分1秒の誤差が生死を分けることもあります。ステるという言葉には、患者さんの状態を短い時間で伝えるための、医療業界の知恵がこめられています。
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ステるの会話例
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明け方に、302号室の患者さんの容体が急変してステるしたらしいよ。
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聞きました。
昨日まで元気だったのに、急にステるなんて… -
ほんとに急だったね。大丈夫?
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大丈夫です。患者さんがステることも覚悟して、ここで働いているので。
こちらも専門用語になので、医療関係の方以外は使う機会はほぼないかと思います。
ステるの類義語
ステるの似た言葉として「ステルベン」「ロス」「永眠」「往生」「デス」などがあります。医療現場ではステるのように普段のライフスタイルでは使わない言葉を、あえて用いるケースが多々あります。
ステるまとめ
ステるには死ぬ・亡くなるという意味のある、業界用語です。生きることの延長線上にあるのが、死ぬという終わり方です。多くの人が生活している病医院や介護施設では、オブラートに包んだ業界用語を用いることで、周囲の人への心理的なストレスを少なくする意味合いがあります。