トロッコ問題(とろっこもんだい)
トロッコ問題は「トロリー問題」とも呼ばれる、非常に有名な思考実験の一つです。その中身は、「ある人を助けるのに、他の人が犠牲になるのはどうなのか?」という倫理学的な深い難題であり、決して答えがでない究極の問題なのです。今回はそんな「トロッコ問題」についての解説です。
トロッコ問題の意味とは
イギリスの哲学者フィリッパ・フット氏が提唱した倫理学で、現在は数多くの思考実験の中でも最も有名な一つとなるのが「トロッコ問題」(またはトロリー問題)です。
その中身は、「ある人を助ける為に、他の人の犠牲は許されるのか?」という、正解が絶対に出ない道徳的ジレンマで、現在はこの様などちらの答えも出ない時に例えや比喩として使われる事もあります。
「トロッコ問題」の実験中身は、以下の通りです。
・トロッコ(列車)がトラブルで暴走し、その線路上に5人の作業員がいる
・このままでは5人全員が死亡するが、分岐点を操作すれば助かる
・しかし、分岐点操作によって別線路上の1人が死亡する
・どちらを助けるべきなのか?
何もしなければ5人は死亡するが、別線路の一人は助かる。分岐点操作で5人は助かるは、それにより別の1人が死んでしまう。どちらを優先すべきなのか? という実験となります。
結論としては、人の命は平等であり、立場や役割で判断すべきでないという常識がある事から、万人が納得の結論は永久に出ません。
トロッコ問題の由来
「トロッコ問題」の由来は分かりませんでしたが、思考実験はオーストリアの物理学者であるエルンスト・マッハ氏が世界で初めて行ったとされます。
思考実験は他にも、「アキレスと亀」や「水槽の中の脳」などが挙げられます。これらが「トロッコ問題」の由来とはなりませんが、古くから議論をされてきて、結論がでない事から同じような位置付けとなっています。
トロッコ問題の文章・例文
例文1.トロッコ問題同様に結論がでない
例文2.トロッコ問題の正解は”何もしない”か?
例文3.論文のテーマがトロッコ問題である
例文4.ジレンマだけが生まれるトロッコ問題
例文5.人はなぜトロッコ問題を議論するのか?
思考実験はいくつもありますが、人の生死を問うものは少なく、その代表が「トロッコ問題」となります。だから、度々取り上げられる事が多く、そこで結論が出ない議論を繰り返す事になります。
トロッコ問題の類義語
「臓器くじ」、「世界五分前仮説」などは、比較的に似たような意味合いの思考実験であり、「トロッコ問題」同様に結論がでないパラドックスに陥ります。臓器くじ…人を殺して多くの命を助けるのは良いのか?というもので、健康な一人を殺してその臓器を移植必要者複数人に配る。一人を殺して、数人を助けるのはどうなのか、というものです。
世界五分前仮説…世界は五分前に誕生したのでは? という仮説に対し、五分前に戻る事は実現不可能なので、否定する事が絶対にできないのです。
この様な議論が延々と繰り返される思考実験のいくつかは、トロッコ問題と同じような意味合いとなります。
トロッコ問題まとめ
トロッコ問題は大変興味深いテーマであると思いますし、初めて知った人はこれを機会に同様の思考実験について触れてみるのも良いでしょう。少し意味合いは違いますが、似たようなもので有名な「囚人のジレンマ」や「ゲーム理論」などもあるので、そちらも面白い内容となっております。
5人を助けるか、それとも1人を助けるか、そのどちらかしか選択がないのが、トロッコ問題をシンプルながら議論が尽きない複雑な点にしている要因となります。