ヒヤリハット(ひやりはっと)
「ヒヤリハット」とは「重大事故を防ぐ目的から、現場作業などでの些細な危険で『ヒヤリ』や『ハッ』とした出来事を職場で共有し対策する事」です。製造や建築現場で働くと、この程度も「ヒヤリハット」で報告書に残すのかと戸惑った事もあると思います。それぐらい今は安全を徹底し、無事故で終えるのが仕事の大前提になっています。
ヒヤリハットの意味とは
「ヒヤリハット」の意味は以下の通りとなります。
(1)製造業や建設業の専門用語で、作業中に不注意などから危ない目に遭いそうになり「ヒヤリ」や「ハッ」とした事。
(2)思わずミスや事故になりそうで「ヒヤッ」や「ハッ」とした出来事を職場に報告する情報共有で、作業中の重大事故を防ぐ注意喚起や環境づくりとなる目的から導入された。
「ヒヤリハット」は製造業や建設業の専門用語で、重大事故の防止目的から危険な目に遭った様々な出来事を職場全員で共有して無事故を目指すという目的から導入され、今ではサービス業や役場・学校など公共機関など全国的に広まっています。さらに深堀りすると、どの業界も重大事故が起これば原因を追究して二度と同じ事態がないように再発防止に取り組みますが、「ヒヤリハット」はその前段階として日頃の作業でちょっとした危険に感じた事なども報告書にまとめて職場の仲間と情報共有をするのです。これまでは些細なミスなどを報告すると上司などから注意されるので部下は黙りがちでしたが、1990年代になると労働災害への意識も高まり大企業などが事故防止を強化した事から「ヒヤリハット」が浸透しました。今では重大事故を未然に防ぐ有効策として「ヒヤリハット」はとても重要視されています。
ヒヤリハットの由来
「ヒヤリハット」の由来はアメリカの損害保険会社に勤務していたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒ氏が1931年に提唱した法則「ハインリッヒの法則」で、そこからハインリッヒ氏が「ヒヤリハット」の発案者となっています。これは1件の重大事故の背景には29件の軽微な事故と300件のケガがあったと法則付け、軽微やケガを防ぐ事で重大事故も無くせるとしたのです。しかし、日本にはこの考えがなかなか入らず、1990年代になりやっと製造業や建設業が導入をし始めました。
ヒヤリハットの文章・例文
例文1.派遣先の工場は常に殺伐とした雰囲気で形だけのヒヤリハットの注意喚起があるが、まったく意味をなしていない。
例文2.威張り放題な正社員と形だけは服従する派遣の間には目に見えない大きな壁があり、派遣などは単なる使い捨てに過ぎないのにポーズとして駒にもヒヤリハットの報告書を求めてくるのはどんな心境なのだろうか。
例文3.台車から荷物を降ろそうとして躓き腰を痛めたので、ヒヤリハットで報告をしようとしたが上司から止められた。
例文4.工場勤務の夫は自宅でも子供たちにヒヤリハットを教えたら、怒っている時の私には要注意となって少しでも機嫌が悪いと場を察した子供たちは部屋に閉じこもるようになった。
例文5.運送会社の運転中のヒヤリハット報告書は交通事故の予防で一般ドライバーにも読む価値がある。
「ヒヤリハット」を使った例文となります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
ヒヤリハットの会話例
-
分かりました。もっと真剣にヒヤリハット報告書を読むように心掛けます。
-
そうしてよね。この業界は一人の不注意からの事故が全員の責任になるの。たかがヒヤリハットだけど、されどヒヤリハットなのよ。
-
はい。これからは意識改革をして注意をします。それでは、お先に失礼します。
-
はい…お疲れさ…。って、残業はしないのー。
上司から注意をされた部下が残業を忘れて帰宅するという内容です。
ヒヤリハットの類義語
「ヒヤリハット」の類義語には「ニアミス」「インシデント報告」「インシデントリポート」「ヒヤッとする事例」「アクシデントリポート」「リスクマネジメント」「危機管理」などの言葉が挙げられます。
ヒヤリハットの対義語
「ヒヤリハット」の対義語は厳密にはありませんが、強いて挙げるならヒヤッとしない「無事故」「無災害」「安全」や問題を起こしてしまった「事故」「災害」などがあります。
ヒヤリハットまとめ
以上が製造業など様々な現場でのリスク管理で使われる専門用語「ヒヤリハット」についての解説でした。ヒヤリやハットした些細な事でも職場と共有して限り減らすようにすると重大事故が防げるという考え方で、これが末端の社員まで徹底されれば作業現場での事故は著しく減少するのです。