フットインザドア(foot in the door)
相手に自分の要求を伝え、受け入れてもらいたいのなら、心理テクニックを活用するべきです。望みを叶えるためには、会話であったり、行動であったり、己の立ち振る舞いで納得させなければいけません。しかし、がむしゃらに挑んでも勝算は薄く、了承を取り付けることはなかなか難しいもの。
意見を通したいのであれば、相手の心理を操り、納得に近づけていく工夫が必要となります。その手段の1つとして活用されているのが、フットインザドアという心理技術です。
この記事の目次
フットインザドアの意味とは
フットインザドアとは、「一貫性の原理」と呼ばれる心理状態を利用する交渉術。不思議なことに、人間は行動や思考において、一貫した状態でありたいという心理作用を備えているのです。これは、一貫性がもつシンプルさ、社会的な称賛の得やすさに魅力を感じるためといわれています。
フットインザドアは、この原理を利用して、相手に小さな要求を飲ませ、大きな要求に繋げていく技術。意図的に断りにくい状況を生み出し、相手を望む方向に誘導していくテクニックなのです。
フットインザドアの由来
フットインザドアの由来となったのは、訪問販売員と客の攻防です。何かを売るということは容易なことではなく、店舗を構えていたとしても困難を極めます。ましてや、怪しげな訪問販売など話すら聞いてもらえず、門前払いが当たり前。そこで生み出されたのが、ドアの隙間に足を挟み込み、多少強引にでも会話を続けるテクニック。小さなチャンスを生み出し、そこから巧みな会話で、大きな成果に結びつける行動が、言葉の素となりました。いまの倫理観で考えるとアウトな行動ですが、フットインザドアには商人のたくましさが宿っているのです。
フットインザドアの文章・例文
例文1.彼のやわらかな立ち振る舞いは、フットインザドアのチャンスを生み出した
例文2.フットインザドアを習得したいのなら、積極的な会話と行動が必要です
例文3.先輩仕込みのフットインザドアで、今期の業績は格段にアップした
例文4.フットインザドアの極意は、弾む会話と小さなお願いのコンビネーションにある
例文5.フットインザドアを巧みに操れれば、商機を自ら作り出すことが可能だ
フットインザドアは、会話や行動によって、相手を望む方向に近づけていく心理技術です。取っ掛かりとなる小さなお願いは、心理的抵抗を薄めるため、それとは気がつきにくい形で埋め込まれます。相手に誘導されているかも?と感じたときは、会話内容を精査し、注意深く接するようにしてみましょう。
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フットインザドアの会話例
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今期もあんまりいい成績にならなかった。どうすれば…
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何事も小さなことからこつこつとしないと。
フットインザドアって言葉があるでしょう。 -
あれって、訪問販売のイメージがあるけど…
でも、確かにフットインザドアの意味って小さな要求をのませていって、そこから大きな要求を断りづらくするんだっけ? -
そう。そんな感じの要領で来期の成績アップを目指したら?
心理的な誘導であることから、これはおさえておきたい言葉です。社会において、対人に関する知識は持っておいて損はありません。
フットインザドアの類義語
類似したテクニックとして、イエス誘導法というものがあります。これは、相手が同意や肯定しやすい会話内容で雰囲気を作り、望む回答を引き出していくというもの。スタートとなる会話は、天気やニュースなど日常的なものでよく、主導権を握りやすいというメリットがあります。
フットインザドアまとめ
自分が抱える意見や要求を伝えるチャンスというものは、何度もあるものではありません。プライベートであれ、ビジネスであれ、機会を最大限に活かし、逃さないようにする工夫が必要といえます。フットインザドアは特別難しい技術が必要ない、日常的に使える心理テクニックです。ちょっとした会話や行動に織り交ぜて活用してみるのもいいのではないでしょうか。