マルチ商法(まるちしょうほう)
「マルチ商法」とは「商品を購入した者が組織の会員(販売員)となり、その会員が新しい会員を組織に加入させるという会員をねずみ算式に増やす販売方法だが、勧誘方法や借金トラブルなど危険性が常に指摘される商法」です。「マルチ商法」は昔から現在まで、時代に応じて巧妙に進化をしています。とある某マルチ会社が摘発されても、そこで培った販売員獲得システムは新たなマルチ会社に受け継がれるので、結局はいたちごっごというよりも騙されたりトラブルに巻き込まれる人が後を絶たないのです。
マルチ商法の意味とは
「マルチ商法」の意味は以下の通りとなります。
(1)正式には「マルチレベルマーケティング」と呼ばれる「連鎖販売取引」の俗称で、販売会社の販売員が新しい販売員を勧誘するねずみ算式な実態の商品販売を繰り返してピラミッド構造の組織を拡大させる仕組み。
(2)商品やサービスの代金などを支払って販売組織に入り、新たに別の加入者を勧誘するねずみ講を発展させた手口であり商品販売方法。
「マルチ商法」は加入した全員が儲かる訳ではなく、一部の上層部だけが潤いそれ以外の大半の加入者が損失を被るので社会的な問題となっている手口です。近年はますます巧妙化していますが、法律上は「マルチ商法」は合法で、「ねずみ講」は違法です。しかし限りなくグレーであり、社会的には「マルチ商法」=「怪しいビジネス」という扱いで、「連鎖販売取引」の特定商取引法で厳しく制限されています。一応は合法である事をを踏まえて「マルチ商法」は正式には「マルチレベルマーケティング」を略した俗称であり、法律上は「連鎖販売取引」となります。また、マルチやネットワークマーケティング、マルチ勧誘、悪徳商法なども基本的には全て同じ事です。繰り返しですが「マルチ商法」は合法なので堂々と経営をしている有名企業も多く、代表的なのは「日本アムウェイ」「三基商事」「ニュースキンジャパン」などで、これらの企業の従業員(販売員)は自社の商品を友人や知人などに販売するだけでなく組織に入会するように頼み、すると自分にも利益の一部が入る仕組みです。要するに組織をピラミッド構造にする事で、上の者は下の者が売り上げた利益の一部を常に汲み取るので儲けられ続けますが、下の者は商品を購入させられるノルマだけが厳しく、まったく儲からないのです。よくある例として、母親が知人紹介で「マルチ商法」に入ると廊下や居間など家中が自社商品で溢れかえり、さらに土日は購入した商品を販売するセミナーで朝から晩まで留守になり、次第に夫婦や家族の関係が崩壊していきます。もちろん中には親子仲良く、まるで宗教の信者のように力を合わせて「マルチ商法」にのめり込むパターンもありますが、大抵では借金だけが膨れ上がるので大きな社会問題になっているのです。最近ではコロナ禍ならではの若者の寂しさや成功したい向上心などを巧みに利用した「事業化集団」と呼ばれる新手の「マルチ商法組織」も暗躍し、ニュース番組で取り上げられるなど世間からも注目を集める事態になっています。
マルチ商法の由来
「マルチ商法」の始まりはアメリカとされ、諸説ありますが有力視されているのは1868年に創業された製造企業「J・R・ワトキンズ」が編み出した商法が原型とされ、その後日本には1970年代に同じくアメリカの化粧品販売企業「ホリデイマジック」が「マルチ商法」を広めたとされています。
マルチ商法の文章・例文
例文1.母親がマルチ商法に嵌まったと知った父親はこれがチャンスだと口実にして新しい女の家から帰ってこなくなり、その寂しさを紛らわすからなのか母親はますますマルチにのめり込んでいったという悲しい物語の絵本を娘が図書館から借りてきた。
例文2.マルチ商法の親玉が逮捕されないのは政界と太いパイプがある蜜月関係というのは周知の事実だ。
例文3.マルチ商法を取り締まるべき警察も裏帳簿や不正経理が横行しているのだから、本腰を入れて逮捕をする気はないだろう。
例文4.俺は偽装結婚、マルチ商法、アダルトサイト詐欺、和牛商法といった数々の手口に騙されてきたが、娘も人がいいのかホストクラブで借金漬けにされ、親子揃って時代に翻弄されていると慰め合っている。
例文5.ドラッグストアの化粧品は肌に悪いと知人が口酸っぱく言うので、マルチ商法だと分かっていたがパチンコで勝って財布に余裕があったから1回だけとオーガニック化粧品を試しに購入すると、翌日段ボールひと箱分も大量に届き、甘さや同情が招いた結果とはいえ頭が痛くなった。
「マルチ商法」を使った例文となります。
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マルチ商法の会話例
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姉ちゃん…。ずっと言えなかったけど、もうマルチ商法から手を引いてくれよ。
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マルチ商法じゃなくてネットワークビジネス! それにお姉ちゃんは今、地域の売上ランキングがトップクラスだからそろそろ階級が上がるのよ。辞められる訳ないでしょう。
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でも世間を騙して儲けるのは違うと思うんだよ。
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騙してない。誰も騙してないし、無理やり勧誘もしていない。あんたの学費も私がマルチ商法じゃなくて…、ネットワークビジネスで稼いで払ったのよ。それなのに一人だけ善人ぶらないでよ。
「マルチ商法」に入れ込む姉に改心して欲しい弟との会話やり取りです。
マルチ商法の類義語
「マルチ商法」の類義語には、「ねずみ講」「カルト」「勧誘セミナー」「事業化集団」「ナリス化粧品」「アムウェイ」「ネットワークビジネス」「システム販売」などの言葉が挙げられます。
マルチ商法の対義語
「マルチ商法」の対義語には、「シングルレベルマーケティング」などの言葉が挙げられます。「シングルレベルマーケティング」はメーカーから小売りを通して消費者に届く一般的な販売法となります。
マルチ商法まとめ
「マルチ商法」は法的には合法ですが、限りなくグレーに近い商品販売や勧誘を目的とした商売スタイルです。基本的には友人や知人達を組織に勧誘していき、会員となった知人はさらに別の知人を勧誘するというピラミッド構造のような仕組みで、上層部の一部は確かに儲かるがそれ以外の大多数は商品購入で借金だけが増えていきます。最近は「マルチ商法」の危険性が知れ渡っているので、若者に投資セミナーといった別目的を出しにする巧妙な手口を使った勧誘をするなど、大きな社会問題になっています。