ミルクラン(Milk run)
「ミルクラン」とは「生乳を集める為に各牧場を回って集荷した事が転じて、メーカーが下請けを巡回して部品などを集荷する物流方式」です。物流とは単にトラックなどが荷物を運ぶのではなく様々な輸送方式が取られていて、状況に応じて最も適している方法が導入されています。ですから南北に長い日本という国でも配送され予定通りに荷物が届きます。「ミルクラン」は主に近距離の業者を回って集荷し、それをメーカーである工場に届けるのに適しているので、自動車などの製造メーカーで採用される事が多いです。
ミルクランの意味とは
「ミルクラン」の意味は以下の通りとなります。
(1)牛乳業者が生乳を集める為に各牧場を回る輸送方式で「巡回集荷」とも呼ばれる。
(2)牛乳業者が始めたメーカー側が複数の配送元を巡回し生乳を集荷する輸送方式で、現在は自動車業界や物流業界にも広く浸透しまとめて輸送する事でコスト削減や環境問題にも配慮する優しい配送方式とされる。
(3)「ミルクラン方式」「ミルクラン便」「ミルクラン輸送」なども同義。
「ミルクラン」は英語表記「Milk run」、直訳すると「牛乳の道」や「旅慣れた道」となりますが、これは物流方式の一つで「巡回集荷」や「引取物流」を指しています。元々はアメリカの牛乳業者(メーカー)が始めた集荷方法で、大手の牛乳業者側が下請けである各酪農家の牧場を回って集乳作業をして工場に戻ってくる事です。この方法は酪農家側の配送という手間暇が無くなり、通常はメーカー側が輸送コストも負担するので下請け側にメリットが大きく、そこから牛乳だけでなく他の商品の配送でも採用されていき、特に自動車の場合は下請け工場が大変多いので大手メーカーは調達方式として「ミルクラン」を積極的に導入していきました。メーカーの大工場にそれぞれの業者が個別に何度も運びに来るよりも、メーカーが大型トラックで各下請け業者を回って一度に大量の部品を搬入する方が理にかなっていますが、当然ながらデメリットとしてはドライバーの負担が大きく、業者が遠方だと時間と燃料代も嵩み、渋滞などで集荷時間が読み難いという点が懸念されます。このような理由から一時は「ミルクラン」から別の輸送方式に切り替える動きもあったのですが、2020年前後から再び「ミルクラン」が注目されトヨタ自動車などが導入し始めました。
ミルクランの由来
「ミルクラン」はアメリカの牛乳業者が最初に始めた物流方式ですが、残念ながらいつ頃なのかは定かではありません。恐らくはアメリカでも1950年代はまだトラック台数は少なかったはずなので、その頃が始まりではないかと推測できます。その後はフォードやGMといった自動車メーカーに勢いが出てくると「ミルクラン」が部品調達で採用され、日本でもトヨタなどが導入をしていきます。
ミルクランの文章・例文
例文1.ミルクランはメリットとデメリットがあり一概にどちらが良い悪いを語れない。
例文2.物流方式を大きく変えたのがミルクランであるのは間違いない。
例文3.ミルクラン方式はスケジュール調整が難しいので、単距離での巡回集荷なら適している。
例文4.彼女は人気YouTuberでありトラックドライバーだが、最近はミルクランを任されているので大変だとぼやいていた。
例文5.広大なアメリカを走り巡回するミルクランは日本とはスケールが違うだろう。
「ミルクラン」を使った例文となります。
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ミルクランの会話例
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日本の物流業界も大変だねー。
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この業界がいちばん大変じゃないやっぱり。トラックドライバーは独りで気楽っていうけど、交通事故とも隣り合わせだし渋滞も多いし。
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本当だよ。それにミルクランって知っている? 近くの集荷先を巡回して荷物を集める場合もあるんだよ。
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トラックドライバーは高速をずっと走っているイメージだけど、近場を巡る仕事もあるのね。それも大変そうね。
トラックドライバーの仕事は大変という会話をしています。
ミルクランの類義語
「ミルクラン」の類義語には「巡回配送」「巡回集荷」「ジャストインタイム物流」などの言葉が挙げられます。
ミルクランの対義語
「ミルクラン」の対義語には「共同配送」「共同配達」などの言葉が挙げられます。
ミルクランまとめ
大手である企業側が原材料や部品などを下請けの各工場を回って集荷するのが「ミルクラン」です。元々はアメリカの牛乳業者が始めたのでその名残りから現在でも「ミルクラン」と言われ、業者の輸送コストを肩代わりしたりメーカー側も手間暇を掛けずに一度で大量に集荷するメリットがある事から、日本でも様々な大企業が採用する物流のトラック輸送方式の代表的な方法となります。