一月往ぬる二月逃げる三月去る(いちげついぬるにげつにげるさんげつさる)
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」とは「正月や節分にうるう年などが目白押しな一月から三月までの時期は、時間の流れが早く毎日があっという間に過ぎ去ると喩えた言葉」です。同じ様な言葉で「光陰矢の如し」は大変有名ですが、今回の言葉を知っている人は少ないのではないでしょうか? 冬から春にかけて時の流れの早さを強調したい際にはもってこいの言葉で、これを使えば慣用句や諺に詳しいと鼻高々になれるでしょう。それでは解説に入らせて頂きます。
この記事の目次
一月往ぬる二月逃げる三月去るの意味とは
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」の意味は以下の通りとなります。
(1)正月から三月までは恒例行事が多く、そこから、この時期は月日が早く流れる事の喩え。
(2)一月は行く、二月は逃げる、三月は去る事から、この時期は毎日が忙しくてあっという間に過ぎてしまう事を調子良く言った言葉。
”一月往ぬる”は「一月は過ぎ去る」「一月は去る」、”二月逃げる”は「二月は抜け出す」「二月は消え去る」で、”三月去る”は「三月は消える」「三月は遠ざかる」となり、一月から三月は時間が無いかのようにあっという間に日々が過ぎ去ってしまう喩えが「一月往ぬる二月逃げる三月去る」です。昔は一月は正月に初詣や年始参り、二月は旧正月で節分、三月はひな祭りなどがあり、現在でも正月や年度末は忙しい人が多く、そんな社会事情から「一月往ぬる二月逃げる三月去る」は用いられます。さらに現代風に解釈するなら、歳月が過ぎるのは早いという諺「光陰矢の如し」の一月から三月までの期間限定版であり、「歳月人を待たず」「烏兎匆匆」なども含めてこれらと基本的にはまったく同じことを言っています。しかし、より洒落のような面白おかしくした調子良い言葉となっているのが「一月往ぬる二月逃げる三月去る」です。現在はこれを面白おかしいと捉える人は極少数でしょうが、昔はそのように解釈されていたのです。
一月往ぬる二月逃げる三月去るの由来
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては”往ぬる”は平安時代の長編物語「源氏物語」の「明石」、”去る”は奈良時代の歌集「万葉集」の「三九九三」などに文言が記されています。”逃げる”の文献は未発掘で不明です。
一月往ぬる二月逃げる三月去るの文章・例文
例文1.十二月になると早く正月休みが来ないかと指折り数えて待ち遠しが、実際になると一月往ぬる二月逃げる三月去るであっという間過ぎ去り、そして春がやって来る。
例文2.久しぶりに実家に帰ると、老いてゆく両親の姿から一月往ぬる二月逃げる三月去るを実感する。
例文3.一月往ぬる二月逃げる三月去るを年々繰り返して、可愛い我が子もあっという間に俺のような醜い中年になってしまうのだから、月日の流れは何よりも恐ろしい。
例文4.一月往ぬる二月逃げる三月去る、そして四月からは東京で一人暮らしを始める人も多いだろう。
例文5.この前甥っ子にお年玉を渡したばかりなのに、一月往ぬる二月逃げる三月去るで気が付けば五月の子供の日を迎えおもちゃをプレゼントし、また暫くすると誕生日やクリスマスがやってきて、一体どれだけ出費をするのだろうと頭が痛くなる。
月日の流れが早いとして「一月往ぬる二月逃げる三月去る」を使った例文となります。
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一月往ぬる二月逃げる三月去るの会話例
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三月になったら沖縄移住かー。今から楽しみだなー。
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私達の長年の夢がやっと叶うのよね。
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その為に今まで二人して必死に貯金してきたんじゃない。東京での生活も残り僅か。嬉しいような少し寂しいような。
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そうね。でも、一月往ぬる二月逃げる三月去るって言うじゃない。お正月が過ぎたら手続きや準備であっという間に引っ越しになりそうね。
東京を脱出して沖縄で新しい生活を始める事になった夫婦の会話です。
一月往ぬる二月逃げる三月去るの類義語
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」の類義語には、「烏兎匆匆」「二月は逃げて走る」「二月は逃げ月」「二月ひと月は小糠三合で暮らす」などの言葉が挙げられます。
一月往ぬる二月逃げる三月去るの対義語
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」の対義語には、「一日千秋」「一日三秋」「一刻千秋」などの言葉が挙げられます。
一月往ぬる二月逃げる三月去るまとめ
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」は一月から三月は一年の中でも特に月日の流れを早く感じる喩えです。昔から受け継がれる伝統行事だけでなく、現在もうるう年や学生の卒業式などイベントも多く、そんな実情から一月二月三月を一括りにして面白く表現した言葉となっています。