一触即発(いっしょくそくはつ)
「一触即発」とは「今にも爆発しそうな雰囲気から、極めて緊迫した状況」です。険悪で緊張感ある関係が続き、後は些細な出来事が引き金となり最悪の事態にいつ発展してもおかしくなく、そんな状況を「一触即発」とします。状況を見事に表している事から使い勝手が良いのが特徴となっています。それでは今にもピンチがやってきそうな「一触即発」の解説となります。
一触即発の意味とは
「一触即発」の意味は以下の通りとなります。
(1)少し触れただけで今にも爆発しそうな状態から、転じて、極めて緊迫した状況の喩え。
(2)小さなきっかけから悪い事態が発生しそうな危機に直面している状態。
(3)今にも最悪な事態が起こる直前で、危険と背中合わせにある。
”一触”は「一度触れる」「少し触る」、”即発”「直ちに発する」「すぐに出発」「すぐに爆発」で、ヤンキー漫画の喧嘩シーンから不仲の夫婦、世界情勢や国際紛争に米中の経済対立など緊迫の規模や大小は問わず実に幅広く使われるのが「一触即発」です。要するに「今にも爆発するような最悪の事態が起こる直前」で、些細な切っ掛けでもそれを理由にして喧嘩・言い争い・暴動・戦争・紛争などが起き兼ねない状態です。そんなヒリヒリした状態を「一触即発」と表現し、それこそ険悪な友人知人にご近所トラブルから国際情勢等々で使われます。これら以外では、危険な状態を煽るやアピールする意味合いでも使われ、例えばスポーツの中でも格闘技などは試合前の様子やリングに上がった際には、必ずと言えるほど解説者が選手の様を「一触即発」と表現します。また、嵐の前の静けさ・殺風景・暗雲が漂う・決戦前夜などの言葉とも絡めて「一触即発」として、この後に爆発するような事態になるので、その落差から今は嘘のように静かで平穏という形にするのもよくあるパターンです。使い方としては「一触即発の空気」「一触即発の雰囲気」などの形が多くなります。
一触即発の由来
「一触即発」の由来は中国・明時代の詩文家・李開先の著書「原性堂記」となります。
一触即発の文章・例文
例文1.知人が大物議員の政治秘書なので不正献金疑惑について訊ねてみたら、みるみると表情が変わり今にも一触即発な状態になったので、取りあえず田中角栄の物真似をしてその場を収めた。
例文2.某大物お笑い芸人同士は若い頃の因縁から永らく嫌煙の仲とされ、二人が体面したら一触即発な事態が起こると言われてきたが、平均よりも背が低い中年男が殴り合いをしても高校生でも仲裁し止められると思ったが、それを言うと笑いにはならないのでタブーだそうだ。
例文3.今の時代、最も恐ろしい一触即発は地方都市のパートおばさん同士の覇権争いで、これに比べたら政治家の軋轢など金で解決するものはとても青臭くて生温い。
例文4.米中の経済対立が茶番である理由として、ドルと人民元の流通量を見れば一目瞭然でこれを一触即発と煽ってもまったく意味がない。
例文5.どの家庭も毎朝トイレの順番をめぐってしばしば一触即発になり、化粧ばっちりのママから大企業に勤めるパパに遊び感覚でモデルをするJKまで、誰も彼も本性を露わにしてそれは醜く臭くてしかたがないが、一歩外に出るとそんな臭い対立は全て水に流して冷静を保ち翌朝また繰り返す。
様々な対立について「一触即発」を使った例文です。
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一触即発の会話例
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おーい、紙がないんだけど…。
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えー、何ー?
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だから、トイレットペーパーがないって。
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さっきまで喧嘩していて一触即発な状態なのに、よくそんな事を頼めるわね。自分で何とかしなさいよ。
喧嘩中の夫婦が再びトイレの紙を巡って「一触即発」になります。
一触即発の類義語
「一触即発」の類義語には、「一髪千鈞」「危機一髪」「刀光剣影」「危険な橋を渡る」「雲行きが怪しい」などの言葉が挙げられます。
一触即発の対義語
「一触即発」の対義語には、「和気藹々」「和気靄然」などの言葉が挙げられます。
一触即発まとめ
「一触即発」は今にも爆発しそうな緊迫した状態で、敵対するような人間関係や対立する両国間を表現する最も代表的な言葉となっています。それほど険悪であり仲違いをしていると簡潔で明確に表し、これから大変な事態が起こるかもという緊張の糸が張り詰めます。