下座(しもざ、げざ)
「下座」は「上座」と同様にして、飲み会などの席や上司や先輩などへの対応として覚えるべき常識ですよね。「上座」にはこれらの人が座って貰うのに対し、「下座」は若い者など社会的な立場が低い者が座る席です。これらは誰でも知っていると思いますが、実は「下座」にはさらに様々な意味が込められています。今回は「上座」との比較も含めて解説となります。
下座の意味とは
「下座」の意味は以下の通りとなります。
(1)大人としてのマナーや社会人の仕来りの一つとして、上司や先輩など年長者や権力者を「上座」に座らせ接待するが、その反対として、若い人やもてなす側が「下座」に座る。
(2)席の中で最も下手。入口に近い席。舞台の場合は客席から見て左側。目下が座る席。
(3)座を下りてひれ伏す。敬礼。歌舞伎では客席に姿を見せないで演奏する場所。
「上座」は基本的に”かみざ”と読むのに対し、「下座」はビジネス上は”しもざ”でそれ以外では”げざ”と読む事が多いです。古くは歌舞伎用語で、その後は様々な場面で使われるようになっていきます。「上座」はその場の権力者が座る席とすると、「下座」はその場でもっとも権力から縁遠い人が座る席ですが、さらには圧倒的な力の差からひれ伏すなどの意味があります。要するに、その場に居るべき存在と認められていないとする向きもあるのです。「下座」に”土”を付けると「土下座」になり、地面に頭を付けるという意味です。よって、現代では「上座」と「下座」はビジネスやお客様へのマナーや接待という面が強いですが、本来は同列ではないハッキリした主従関係のような差が「上座」と「下座」の間にはあります。
下座の由来
「下座」は「上座」と同じ室町時代を発祥とする言葉とされています。この時代の文化に深く関わりがある「書院造」の「床の間」と、そこで貴族など身分高い者が高い位置に座る場所や寝る場所を設けるようになったのが「上座」で、「下座」はその逆で身分が低い者が貴族などと同じ場に居られない事や同じような席に座れなかったのが始まりとされます。文献としては、鎌倉時代中期の教訓説話集「十訓抄」(1252年)に、「下座」を使った一文が残されています。
下座の文章・例文
例文1.長年勤めているので会社ではそれなりの立場になったが、今でも下座にいる方が精神的に落ち着くのは性分なのだろう。
例文2.下座に社長のご子息を座らせてしまい、後から上司に大目玉をくらった。
例文3.取引先から接待されたが、下座に案内され少々複雑な気持ちで場がすすんだ。
例文4.下座や上座の概念は、外国にもあるのか気になる。
例文5.国会の座席には下座などは関係なさそうだ。大物ベテラン議員でも出入り口の近くに座っている気がするからだ。
「下座」を使ったよくある失敗例、疑問めいた文章となります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
下座の会話例
-
上司とタクシーを乗る場合って、下座はどこになるの? 今度出張があるから不安なんだよね。
-
タクシーの場合はどこだろう。あなたが助手席に座れば、いいんじゃないの?
-
二人だけの出張で、俺が助手席ですかー?。本当ですか?
-
嘘嘘、本当は上司を先に座らせると、必然的に運転手の後ろに座るから、そこが上座。あなたは下座だから、そのまま助手席後ろの後席に座ればOKだよ。
タクシーでの「下座」や「上座」についての会話です。
下座の類義語
「下座」の類義語には、「下手」「末席」「末座」などの言葉が挙げられます。
下座まとめ
「下座」とは「上座」との対局や対比となる言葉で、目上や権力者を入口から遠い良い席とされる「上座」に座らせるのに対し、「下座」はその場で最も目下や力がない者を入口近くなど末席に座らせる事です。この関係は、宴会や結婚式、会議やエレベーターやタクシーなど、あらゆる場所で常識として設けられています。よって、目下の者はこれらで常に気を遣う必要があります。