不問に付す(ふもんにふす)
「不問に付す」とは「悪事や問題事に対し咎めないで問題なしで終わらせる事」です。子供や学生が誤って起こした間違いから政治家などの悪事まで使われるので、その扱う範囲がとても広いのが特徴となっています。人が犯した間違いの是非の判断が、力を持った者の匙加減で決まるのは納得できないと思いますが、残念ながらそれが現実なのです。そんな社会の歪みが表れる「不問に付す」の解説となります。
不問に付すの意味とは
「不問に付す」の意味は以下の通りとなります。
(1)問い質さないでそのままにする。
(2)過失を咎めないで、問題なしとする。
(3)これ以上追及しないで、問題事に目を瞑る。
”不問”は「取り上げて問題にしない」「問題にしないで捨てる」、”付す”は「ついてゆく」「従う」「託す」「扱いにする」で、(問題有りとなってもおかしくない事案を意向で)問題無しという扱いにするのが「不問に付す」です。よって、本来は問題有りな事柄や事実について、色々と踏まえた上でこれ以上は問い質さないという決定に至ったのです。例えば、権力者の子供が犯罪を犯しても「不問に付す」のは現実としてよくあり、昨今の上級国民への配慮も同様です。そもそも、何もなければ「不問に付す」という言葉すら使われないので、起こってしまった事実に対して是か非を決定する立場の者が、様々な状況を鑑みたり配慮や忖度し、最終的に「不問に付す」のです。お咎めなし・容認・黙認・情状酌量・大目に見るなども類似表現で、納得できない人も多いですが権力を握る側が下した決断に黙って従うしかないのです。
不問に付すの由来
「不問に付す」の由来は残念ながら不明です。文献としては、明治時代の小説家・末広鉄腸の著書「雪中梅」(1886年)などに文言が記されています。
不問に付すの文章・例文
例文1.高校の頃に他校生徒とケンカになったが、担任教師の計らいで不問に付すとなり退学を免れた。
例文2.最高権力者の息子や関係者ならどんなに悪事を働いても不問に付すとなるのだから、それは税金支出や賄賂もやりたい放題でとんでもない国になったが、なぜか保守派は大擁護するのだからおかしなものだ。
例文3.ブラック企業な我が社の上司は部下にはめっぽう厳しいが、社長のぼんくら息子が何をしても不問に付すように黙認するのだから、呆れて物が言えない。
例文4.これまで何食わぬ顔で行ってきた政府の罪を不問に付す事は納得できないが、自分一人ではどうする事もできない。
例文5.中国やロシアなら犯罪者だけでなくその周囲まで厳しい取り締まりとなるが、日本なら同じ事でも不問に付して有耶無耶で終わりになる。
政権批判などで「不問に付す」を使った例文となります。
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不問に付すの会話例
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ごめん。間違ってこの前買った宝くじをゴミで捨ててしまった。
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えー。もし当選していたら3億円だよ。それをあなたは…。
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だから、ごめんって。許してくれよ。
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仕方がないわね。今回は不問に付すわよ。でも、今度も捨てたら承知しないからね。
誤って当選発表前の宝くじを捨ててしまった夫を許す妻の会話やり取りです。
不問に付すの類義語
「不問に付す」の類義語には、「赦免する」「免罪する」「不問に処する」「見てみぬ振りをする」などの言葉が挙げられます。
不問に付すの対義語
「不問に付す」の対義語には、「問題にする」「俎上に載せる」「騒ぎ立てる」「平地に波乱を起こす」などの言葉が挙げられます。
不問に付すまとめ
「不問に付す」は明らかな問題事ながらそれ以上問い質さないでそのままにしておく事です。要するに、過失を責め立てたりしないでお咎めなしで終わりにします。よくあるのは権力者や或いはその家族などが問題を起こしても、過失なしで幕引きを図るのが「不問に付す」です。