二項対立(にこうたいりつ)
「二項対立」とは「二つの概念が矛盾や対立の関係になる事」です。これだけでは難解な言葉に感じますが、例えば学校で考えるなら、教師と生徒、男と女、優秀な生徒と劣等な生徒、長身の生徒と短身の生徒、運動部と文化部といったように分類をする事ができます。このような同じ学校という枠内でも、二つに分けてしまう概念が「二項対立」です。あるものの特徴を解説するには便利な言葉ですが、無理やり対立を煽っているのも否めません。そんな「二項対立」の解説となります。
二項対立の意味とは
「二項対立」の意味は以下の通りとなります。
(1)相対する概念、相容れない考え方の事。
(2)生と死、明と暗、男と女、右と左、西洋と東洋(非西洋)、主体と客体などの関係性。
(3)論理学用語で、互いに矛盾や対立をする二つの概念。
(4)「二分法」「二元論」も同義。
「二項対立」は論理学用語の一つで、男と女・生と死・明と暗などのように二つの概念が矛盾や対立の関係にある事です。”二項”は「二つの事柄」「二つの要素」、”対立”は「二つのものが反対の立場」「反対の立場が譲らない」「向かい合って立つ」となるので、そこからもどちらが正しくてどちらが間違っている訳ではなく、要するに双方が真逆の主張を持ち合わせて考え方がまったく違うのが「二項対立」と理解できます。ですから、男と女・生と死などだけでなく、陸と海・貧乏と富裕・高身長と低身長・臆病と勇敢など挙げたらいくつも出てきます。その一方で「二項対立」はある種の曖昧さもあり、明確な基準が確立されていない点もあります。例えば、男と女もどちらも人間ですし、LGBTはどちらに属するのかなど”二項”の分け方から明確ではないのです。貧乏と富裕、高身長と低身長も同様でどの程度で分けるのかは定かではなく、また価値観が強く影響されるので対立そのものの構造が破綻する恐れもあります。しかし、両極端となる特徴にインパクトを与えるので分類をするのに便利な言葉であるのは間違いなく、ある企業が新商品を開発しライバルや従来品との対比として必ずと言えるほど「二項対立」のリストが作成され違いを明確にするものです。
二項対立の由来
「二項対立」はスイスの言語学者で「近代言語学の父」と呼ばれるフェルディナン・ド・ソシュール氏、フランスの社会人類学者・クロード・レヴィ=ストロース氏らが発案した概念となります。
二項対立の文章・例文
例文1.二項対立を知った切っ掛けは、昔読んだ小説に犯人である泥棒と警察の対比で書かれていたからだ。
例文2.男と女は二項対立なので、互いの価値観が本質的に理解されるのは永久に不可能だ。
例文3.男らしくて勇ましいマッチョな兄と数年間音信不通だったが、その間に性転換手術を受けて美しい女性に生まれ変わりスリムなモデル体形になった時は、二項対立の概念を自力で覆したと驚いてしまった。
例文4.職場では大人しいが、アル中なので酒を飲むと強気で暴れるのだから、まるで二重人格で二項対立を抱えて毎日を生きているようなものだ。
例文5.米中の対立も根底には、西洋と東洋の二項対立による国民の考えの違いが関係あるのだろう。
米中の政治対立から男女の違いなどで「二項対立」を使った例文です。
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二項対立の会話例
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だから、そうじゃなくて…、っていうか大人なら分かるだろう。常識だよ。
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あなたの方こそ常識知らずよ。今は令和の時代。本当に頭が固いんだから。
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あーもうダメだ。男と女は所詮、二項対立だから…。まったく考え方が違うから意見は平行線だ。
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何でも二項対立に問題を置き換えるからダメなのよ。もっと論理的に話し合いは出来ないの?
意見が食い違い、口論を続けている夫婦の会話内容です。
二項対立の類義語
「二項対立」の類義語には、「一元論」「多元論」「反対意見」「二律背反」などの言葉が挙げられます。
二項対立の対義語
「二項対立」の対義語には、「表裏一体」「裏腹」「不離一体」などの言葉が挙げられます。
二項対立まとめ
「二項対立」は生と死、男と女などの相対する概念であり、矛盾などを抱えて対立関係にあるものです。元々は論理学用語で、相反するものなら何でも当て嵌まるので右と左、昼と夜、善と悪など多数存在しますが、一方では主観によるあいまいな表現ともされ、どちらが優れているなどはないのでそこには価値観が大きく影響を与えてしまう傾向があります。