亭主の好きな赤烏帽子(ていしゅのすきなあかえぼし)
「亭主の好きな赤烏帽子」とは「主人が変わった物を好むなら、家族は受け入れて従うしかない喩え」です。現代人の感覚ならまず有り得ませんが昔は父親の立場がとても強く、そんな背景から誕生した諺が「亭主の好きな赤烏帽子」です。普通なら黒い帽子なのに敢えて赤い帽子を被るのは、相当奇抜な事であり普通は驚くべき姿ですが、それでも家族だけは受け入れるとしているのです。
この記事の目次
亭主の好きな赤烏帽子の意味とは
「亭主の好きな赤烏帽子」の意味は以下の通りとなります。
(1)世間から評判が悪くても、主人が好きなら家族はその趣味に従う事。
(2)普通は黒塗りなのに赤い烏帽子を主人が好む事から、一家の主人が変わった物を好めば家族は同調しなければならない喩え。
(3)「亭主の好きな赤鰯」も同義。
”亭主”は「家の主人」「夫」「店の主」、”赤烏帽子”は「伝統的な黒塗り帽子を赤くしたもの」「変わった帽子の喩え」で、普通は黒色なの赤くした風変わりな帽子を主人が好むのが「亭主の好きな赤烏帽子」です。そこから、普通や常識とはかけ離れた変わったものでも一家の大黒柱である主人が好むなら家族だけは従い同調するしかない喩えになります。現代ではあまり受け入れられない考え方ですが、当時はこのような父親が最も偉いという家父長制が根付いていた事から誕生した言葉と受け取れます。よって、亭主の妻である女房や子供達は否が応でも父親には逆らず黙って従うしかないのが「亭主の好きな赤烏帽子」です。因みに”烏帽子”は本来は「えぼうし」と読むが、昔ならではの音変化で「えぼし」となります。
亭主の好きな赤烏帽子の由来
「亭主の好きな赤烏帽子」の由来は江戸時代に誕生した庶民向けの読み物「人情本」の「恩愛二葉草」となります。
亭主の好きな赤烏帽子の文章・例文
例文1.我が家は今時珍しい亭主の好きな赤烏帽子なので、父親が好きなアニメを家族全員も好きになるという重いルールがあり、破ると不機嫌になってしまう。
例文2.サービス残業を公然とさせる会社は要するに亭主の好きな赤烏帽子とまったく同じ時代感覚で、間違っていても社員は何も口を出せなくなっている。
例文3.現代は亭主の好きな赤烏帽子に苦しむなら、さっさと離婚をするべきだ。
例文4.未だに亭主の好きな赤烏帽子を地で行く家庭も多いというのだから、古い体質や社会構造を抜本的に変えるのは容易ではない。
例文5.政治とは国民をより良くするものだが、なぜか亭主の好きな赤烏帽子と同じになってしまい、反発すれば反日というレッテルを貼られるのだから恐ろしい国だ。
「亭主の好きな赤烏帽子」を使った例文となります。
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亭主の好きな赤烏帽子の会話例
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先週から我が家は全員で毎朝走る事にしたんだよ。やっぱり健康第一だからな。
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えっ、家族全員ですか? 一人で走ればいいじゃないですか?
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それじゃあ俺が寂しいだろ。それに家族の健康の為だよ。第一、俺が働いているから生活できる訳で、家族なら黙って従うべきだ。
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うわー…、課長って典型的な亭主の好きな赤烏帽子だったんですね。
家族を半ば強引に従わせて毎朝走っている課長とその部下の会話です。
亭主の好きな赤烏帽子の類義語
「亭主の好きな赤烏帽子」の類義語には、「亭主が好きなら薦でも被れ」「旦那の好きな赤烏帽子」などの言葉が挙げられます。
亭主の好きな赤烏帽子の対義語
「亭主の好きな赤烏帽子」の対義語はありません。補足として「亭主」の対義語は「女房」「妻」、「帽子」の対義語は「靴」「履物」などの言葉になります。
亭主の好きな赤烏帽子まとめ
「亭主の好きな赤烏帽子」は世間から評判が悪くても、亭主が好きなものは家族が同調しなければならないという喩えです。それぐらい昔の時代は亭主の力は強く、家族には有無を言わさずに反発や反対は有り得なかったのです。