人身御供(ひとみごくう)
「人身御供」はとても恐ろしい語源を持つ言葉です。人身御供の意味を知ると、「今っていい時代なんだなあ・・・」としみじみすること請け合いです。もちろん、いまだにその文化が残っている民族だっているかもしれませんが・・・。この記事では、「人身御供」の意味や由来について見ていきます。
人身御供の意味とは
人身御供とは「神に人をささげる祭儀」のことを言います。それから意味が転じて、「目上の存在に無理な願いを通してもらうため、自らを犠牲にする」あるいは「誰かの利益のため、理不尽に犠牲になる」というような意味で使われるようになりました。
読みは「ひとみごくう」、あるいは「じんしんくぎ」とも読みます。
「人身」を「御供えものにする」というわけで、非常にストレートな意味ですね。
人身御供の由来
人身御供の由来は、さかのぼると非常に古くからあらゆる民族が行っています。
神に自分を捧げるわけですから、当然その願いは通常の願いではありません。非常に大きな見返りを求めるわけで、そのために払う犠牲も多大なものがあります。時には自らの意思に反して、上の意向で自分自身や息子・娘を人身御供に差し出さねばなりませんでした。
そんなわけで、人身御供には自分の意向ではない犠牲も含まれます。一社員なのに会社の不祥事の責任を取らされてクビになったり、誰も行きたがらない海外への単身赴任を言い渡されたり・・・と、とにかく不幸なイメージが付きまとう言葉です。
人身御供の文章・例文
例文1.あいつは会社の人身御供にされたんだ
例文2.社長の身勝手で人身御供にされてはたまらない
例文3.私は夫の人身御供ではない
例文4.ここはひとつ、恥を忍んで人身御供の役目を果たそう
例文5.人身御供的な立場にいる
上記のように、理不尽な仕打ちを受けるシーンでよく使われます。
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人身御供の会話例
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とうとう彼、異動しましたね。周りは異動じゃなく、差先だって思ってるけど。
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見ていて、すごく気の毒でした。でも、もとはと言えば係長が悪いのに・・・。こんなこと、あっていいわけがないです。
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僕も部長には何度も申告したんですが・・・。こんなの人身御供だって。でも、思いとどまってくれませんでした。
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私たちの身も、いつ着られるか分かった者じゃないですね。
会社は利益がすべて。それに絡むと、時に非道な人事が行われます。会社のために人身御供となってきた人が、今まで数えきれないほどいるでしょう。
人身御供の類義語
人身御供の類義語として「人柱」が挙げられます。これも、昔建築の際に災害などの難に悩まされないよう、生きたまま人を水の中に沈めるという恐ろしい行事からきています。意味はほぼ同じで、「目的のために犠牲になること」です。
人身御供まとめ
ここまで、人身御供について見てきました。大抵は「人身御供にされる」など、受身形で使われることが多い言葉なので、覚えておきましょう。