他聞に憚る(たぶんにはばかる)
「他聞に憚る」とは「他の人に聞かれたら不都合となる秘密話や内緒話」です。内緒話を相手に吐露する際や周囲に盗み聞きする人がいないのを確認する際に「他聞に憚る」と使うのが、よくあるパターンです。話の中身はともかく、当人が内緒にしたいと思えば重要な意味ある事となるからです。それでは、大切な話をする際には場所選びも大切であると教えてくれる「他聞に憚る」の解説となります。
他聞に憚るの意味とは
「他聞に憚る」の意味は以下の通りとなります。
(1)他人に聞かれては困る話。他人に聞かれると不都合がある。
(2)部外者に知られては困る内容の事。世間に知らされると具合が悪くなる。
(3)「他聞を憚る」も同義。
”他聞”は「他の人に聞かれる」「他人の耳に入る」、”憚る”は「差し障りがあり躊躇う」「気兼ねする」「いっぱいに広がる」「遠慮」で、何か悪巧みや目論見があり他の人に聞かれると面倒事に発展する恐れがあるので、内緒で内々にしたいここだけの話が「他聞に憚る」です。また、そんな内緒話が可能な場所を「他聞に憚る」とも表現します。一般的には、秘密の暴露や談合など悪事の打ち合わせ的な話ですが、単純に色恋や友人家族の相談など第三者にとってはどうでも良い話でも勿体付けて「他聞に憚る」ともなるので、この辺りは当事者や双方の関係性によって違いがあるようです。使い方としては、「他聞を憚る話」「他聞を憚るようだ」「他聞を憚るらしい」「他聞を憚りたい」とその都度で語尾が変化します。
他聞に憚るの由来
「他聞に憚る」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては”他聞”は平安時代の貴族・藤原明衡による往来物「明衡往来」(11世紀頃)、”憚る”は鎌倉時代の軍記物語「平家物語」などに文言が記されています。
他聞に憚るの文章・例文
例文1.学生時代はどうでもいい恋愛話が重要な役割を果たし、他聞に憚るようにするのが友情の証となった。
例文2.ドラマや映画の内容で他聞に憚る話をすると、絶対に後からバレてしまい騒動に発展するのが典型的なパターンだ。
例文3.出世するには他聞に憚る話をどれだけ集められるかの情報収集力がものをいう。
例文4.自己顕示欲の強い人は本来は他聞に憚る扱いなのに、ネタが切れると必ずSNSにアップしてその後後悔や反省をするというオチがつくので笑ってしまう。
例文5.彼女がヒステリー気味に大声を出したので、それではカフェ中に響き渡ると焦り「他聞に憚るからもっと小さな声にして」と窘めて、なんとか別れ話をもう一度切り出した。
秘密の話として「他聞に憚る」を使った例文です。
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他聞に憚るの会話例
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少し落ち着いて、店内では大声を出すなよ。他聞に憚る話だって、最初に言ったろ。
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だって、あなたが唐突に別れ話をするからでしょう。
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前々から考えていたんだよ。俺達はちょっと合わない部分があるから、このまま我慢するよりも互いに別の相手を探して幸せになった方がいいんだよ。
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別れ話をするのが上手よね。いつもそうやって、飽きたら違う女にいってとっかえひっかえしていたんでしょう。この遊び人のろくでなし!
男女の別れ話のやり取りとなります。
他聞に憚るの類義語
「他聞に憚る」の類義語には、「内緒」「内内」「内密」「内緒話」「オフレコ」「身内話」「ここだけの話」などの言葉が挙げられます。
他聞に憚るの対義語
「他聞に憚る」の対義語には、「公然」「公開」「おおっぴら」「おおやけ」などの言葉が挙げられます。
他聞に憚るまとめ
「他聞に憚る」は他の人に聞かれると不都合となる事で、要は内緒にしたい話とする際に用いる表現です。典型的なのは悪巧みを企む二人が申し合わせたように「他聞に憚る」と使い、ここだけの秘密話にしようとお互いが納得をしています。