伏魔殿(ふくまでん)
中国の「四大奇書」をご存知ですか?
中国人が昔から親しんだ小説、「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」という4つの小説を「四大奇書」と言います。金瓶梅以外の作品は、日本人にもなじみが深いのではないでしょうか?
この記事では、そのうちの水滸伝の冒頭に出てくる「伏魔殿」について取り上げていきます。政治家も時折「伏魔殿」と発言するなど、現代でも熟語として使われている「伏魔殿」について、意味や由来を説明していきます。
伏魔殿の意味とは
伏魔殿は「ふくまでん」と読み、意味は「陰謀や悪だくみがなされている所」というものです。「魔」が「伏せて」いる「宮殿」というイメージそのままの意味ですね。
政治家の田中真紀子も、自身が外務省大臣として務めていた外務省を指して「あそこは伏魔殿のような所だ」という言葉を使っています。
伏魔殿の由来
伏魔殿の由来とは、中国の四大奇書、水滸伝の冒頭に出てくる建物の名前です。
水滸伝とは108人の英雄豪傑が宋江というリーダーの元に集まり、当時の王朝・北宋に氾濫するというストーリー。
この108人は「百八星」と言い、元々は百八の魔星、つまり魔王が住んでいる星の生まれ変わりです。その百八の魔王が住んでいたのが、何を隠そう伏魔殿だったのです。
伏魔殿は赤い塀に囲まれた宮殿。洪進という人物が物珍しさに中に入り、封印を解いてしまい、封じ込められていた魔王が解き放たれ、108人の豪傑たちに生まれ変わったところから、水滸伝がスタートするのです。
伏魔殿の文章・例文
例文1.あの部署は伏魔殿のような部署だ
例文2.実家は伏魔殿のような所だ
例文3.あそこは伏魔殿だから入りたくない
例文4.伏魔殿のような怨念を感じる
例文5.東京はまるで伏魔殿だ
伏魔殿という表現はなかなか使わないのですが、使うとしたら上記のような表現になります。伏魔殿は「一度行ったらもうこりごり」というような、人の負の感情が渦巻く場所なのでしょうね。
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伏魔殿の会話例
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いやあ、ようやく家に帰ってきた。やっぱ自宅は落ち着くなあ。
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私も、ようやく一息つけたわ。それにしても、あなたのお兄さん夫婦ってなんだかとてつもない人ね。
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もともと父が頭の切れる人だったけど、兄はそれを受け継いだうえに、性格が悪いからね。おまけにあの嫉妬深い奥さんときた。兄の家はいつも伏魔殿みたいに感じるよ。
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なんだか、この世とは思えないような場所だったわ。
ある夫婦が、夫の兄の家の様子について話しています。会社や組織より、案外家庭の方が悪意ある陰謀が企まれる場所かもしれません。
伏魔殿の類義語
伏魔殿と同じ意味で使える類義語はあるのでしょうか。あまり見当たりませんが、もし挙げるとしたら「百鬼夜行」や「陰謀渦巻く」などの言葉が適当かもしれません。よってたかって悪だくみがなされている様子を表します。
伏魔殿まとめ
水滸伝に登場する伏魔殿の現在の使われ方や由来について見てきました。普通に過ごしていれば、まず使わない言葉ですね。