刻舟(こくしゅう)
「刻舟」は文字からすると、舟に刻むとなりますよね。これだけではまったく理解出来ませんが、実は四字熟語や諺としても大変有名な言葉なのです。個人的には「刻舟」とならないように、自戒の念を込めて使う言葉だと思っています。しかし、ある程度の年齢になると新しい事に挑戦するのは難しくて厄介に感じ、どうしても時代から取り残されてしまうようになるのです。そんな哀愁を感じつつ、「刻舟」についての意味や由来などを調べてみました。
刻舟の意味とは
「刻舟」の意味は以下の通りとなります。
(1)時代の移り変わりに気が付かない事。
(2)愚人が古い仕来りを守って時勢の変遷に気付けない事。
(3)舟から剣を落とした人が、その舟が動く事を考えずに舟端に目印を付けて水中の剣を捜した事から、転じて、時勢の流れに気付けない愚か者の喩え。
(4)四字熟語「刻舟求剣」、諺「船に刻みて剣を求む」も同義。
「刻舟」とは上記の通り、時代の流れを感じ取れない者や愚か者の喩えとなります。単純に頭が悪いというより、肝心な事が分かっていないという感じではないでしょうか。ですから、抜けている・無知・知識が浅い・認識が足りないといった言葉も近い意味合いで、特に「時代錯誤」はかなりの類似性を感じさせます。元々は、舟から剣を落としながらも、その目印を動いている舟の端に付けた事から「時勢の移りに気が付かない愚か者」や「愚か者が旧弊を守り時勢の変遷に気付かない」となります。”時勢”は「時代の成行き」「世の中の移り変わり」、”旧弊”は「昔ながらの仕来り」「古い仕来りの弊害」、”変遷”は「時の流れや移り変わり」となります。よって、さらに拡大解釈をするなら、舟が動いていなければ目印を付けるのは間違いではないが動いている時なら無意味なので、これまで常識だと思っていた仕来りなども、時代が変わる際には足枷となる場合も多々あるのです。それに気付くか気付かないかは当人次第で、それが「刻舟」といえます。
刻舟の由来
「刻舟」の由来は、古代中国・秦の百科全集「呂氏春秋」の「察今」となります。
刻舟の文章・例文
例文1.地方の閑散とした商店街を見ていると、刻舟が住民に猛威をふるった結果なんだと痛感してしまう。
例文2.都会に住む若者などは刻舟は無関係と思うだろうが、実際には誰しも平等に老いていくので完全に抗うのは難しい。
例文3.小学生の息子をキャッチボールに誘ったら、「今は誰もやり方を知らないよ」と断られ、自分が刻舟だったと思い知らされた。
例文4.職場の上司はハラスメントが酷く、頭の中は昭和で止まっている刻舟その者である。
例文5.政治家の言い訳がましい発言を耳にする度、刻舟である自覚はないのだと心底嫌になる。
政治から地方商店街などで「刻舟」を使った例文となります。
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刻舟の会話例
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もういい加減、ブラウン管テレビ処分しない? そして新しいテレビを買おうよ!
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いいじゃん。まだ見れるよ!
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そうだけど…。今時、どこの家でも液晶テレビだよ。子供だって、友達にバカにされたら可哀想じゃん。
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もしかして私の事、偏屈で刻舟な女だと思っているでしょう。頭にきたから、後10年はこの古くて時代錯誤なテレビを我が家では使い続けます。
ブラウン管テレビを未だに使っている事を恥じる夫と、それを拒否する妻の会話やり取りです。
刻舟の類義語
「刻舟」の類義語には、「アナクロ」「時代遅れ」「旧套墨守」「守株待兎」「株を守りて兎を待つ」などの言葉が挙げられます。
刻舟まとめ
「刻舟」とは簡単に言うと時代錯誤や愚か者の喩えで、水中に落とした剣を拾おうと動いている舟の端に印を付ける行為を揶揄する言葉です。時代の変化に気付かず、いつまでも古い習慣や仕来りに固執して新しい事を取り入れない人という意味もあります。