劇的(げきてき)
スポーツで逆転勝ちしたら「劇的勝利」、人命救助や交通事故の様子などでは「劇的な瞬間」、有名人などで波乱万丈な人生なら「劇的な生涯」と、この様な使われ方をするのが「劇的」です。感動や興奮などを伝える言葉として便利なので、本当に使い勝手が良いですよね。しかし、あまりにも身近な言葉なので由来や正しい意味などは、普段意識しないものです。そこで、詳しい解説をさせて頂きます。
劇的の意味とは
「劇的」の意味は以下の通りとなります。
(1)劇を見ているような緊張や興奮、感動をする感覚に陥る。
(2)感動があったり印象的な物事。ドラマチック。
(3)状況にもよるが、スリリング・興奮・美しいにも近い意味がある。
”演劇”とは、俳優が舞台で演技を披露し感動させたり興奮、時には笑わせるものです。そんな”演劇”を見ていると錯覚させるものを総じて、「劇的」と呼びます。最初は関心なく見ていても、段々と夢中になり仕舞いには感動や共感すると、その「劇的」な中身に惹きこまれたのです。最近は何かと「劇的」を付ける事が多く、その中でも「世界のおもしろ映像」や「ハプニング映像」と冠した番組やコーナーなどでは、必ず「劇的」も人々に関心持たせる言葉として付けられる傾向です。他にも、スポーツでは単なる勝利でも「劇的な勝利」「劇的な幕切れ」「劇的な瞬間」とするとキャッチーさが一段と増します。この様な事情から「劇的」を使わない方が少ないと思わせるほど、日々当たり前のように大量に使われています。
劇的の由来
「劇的」は中国発祥と思われますが、厳密には違います。”劇”や”的”とそれぞれ一文字なら中国語にも存在しますが、組み合わせた「劇的」になると中国語には存在しません。よって、日本で誕生した言葉と推測できます。しかし、詳しい由来などは不明なので関連した補足となります。「演劇」という言葉は中国発祥で、日本に広まったのは明治時代以降で、その当時の西洋劇に対して「演劇」が使われたそうです。文献としては、江戸時代の地詩「江戸繁昌記」の「駆豎子摘蒼耳詩」に”劇”を使った一文、小説家・中西伊之助の「死刑囚と其裁判長」(1922年)には”演劇”を使った一文が残されています。
劇的の文章・例文
例文1.劇的なゴールで逆転勝利をした日本代表がW杯本戦の出場権を獲得した。
例文2.劇的な瞬間に立ち会おうと、友人はいつもカメラを片手に持ち歩いている。
例文3.犬や猫のペットを購入していると、毎日が劇的な瞬間だらけだ。
例文4.劇的な出会いを求めてスポーツジムに通い出したが、三日坊主で終わりそうだ。
例文5.結婚は劇的だったが、離婚はさらに驚きの劇的なものだった。
「劇的」はポジティブな意味が多いですが、中には悲劇的なものも「劇的」と使います。
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劇的の会話例
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劇的な結果があるスポーツというと、何を連想します?
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私はフィギュアスケートだな。演技も美しくて、採点結果や最終順位など全てが演劇の様でドラマチックー!
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いやいや、何と言っても世界最高の人気を誇るサッカーこそ、劇的が相応しいスポーツでしょう。世界の超一流選手が試合で向き合い、どちらが勝つかは劇的以外の何ものでもないですよ!
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確かにサッカーは世界中で大人気だけど、劇的はドラマ性が求められるの! そうすると、フィギュアスケートの美しさこそピッタリでしょう。
「劇的」が似合うスポーツについて、男女が会話を繰り広げます。
劇的の類義語
「劇的」の類義語には、「芝居がかって」「スリリング」「美しい」などの言葉が挙げられます。
劇的まとめ
「劇的」は、まるで劇を見ているような緊張や感動をする様を喩えた言葉となります。実際に演劇を見ているだけでなく、スポーツや日常生活などどんな場面でもそこに感動や興奮があるなら、「劇的」を使うのが相応しくなります。一方で、「おもしろ動画」などちょっとしたハプニング映像に対しても過剰に「劇的」と使うので、人々が慣れ切っているのも事実です。「劇的」と言いながら、日常生活のどこにでもある風景やワザと狙ったものばかりで、そこには本来の「劇的」とかなり乖離している事実があります。