半ちく(はんちく)
「半ちく」とは「中途半端や暇という意味の東京方言・江戸弁」です。映画「男はつらいよ」を観ていると見事なぐらいの江戸弁で溢れていますが、最近は下町生まれでも使う人が少ないので「半ちく」の意味を知らない人も多いでしょう。それだけ馴染みが薄い言葉となってしまいましたが、かつては下町では江戸弁も普通で「半ちく」だけでなく「べらんめえ」といった口調が辺りから普通に聞こえてきたのです。
半ちくの意味とは
「半ちく」の意味は以下の通りとなります。
(1)中途半端。半端な事。気の利かない。
(2)中途半端や半端が転じて、閑散や暇な事。
(3)東京方言や江戸弁で中途半端な者を非難する言葉。
「半ちく」は正式な言葉というよりも東京の下町などでかつて使われていた江戸弁の一つで、主な意味は上記のような中途半端・半端に加えて半分で仕事などが終了する、どこか抜けている性格といった意味もあります。要するに方言なので、正確な意味というよりもニュアンスであったり相手の心情を理解して雰囲気で感じ取るところがあります。”半”は「半分の略」、”ちく”は「口(くち)の逆さ語」「”こんちくしょー”の略語」で、そこから半分である状態を中途半端とした江戸弁になったとされます。
半ちくの由来
「半ちく」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては近代日本の小説家・岡本綺堂の著書「半七捕物帳」(1923年)などに文言が記されています。
半ちくの文章・例文
例文1.職場の後輩は半ちくで本当にどうしようもない。
例文2.いつも半ちくなやり方ばかりだが、それが評価されるのだから仕方がない。
例文3.「この半ちく野郎!」と親方から怒られてばかりだ。
例文4.今日の仕事は半ちくが決定したから、久しぶりに午後からは競馬場で遊ぶ事にした。
例文5.何事も半ちくなので、趣味ですら長続きしたものはない。
「半ちく」を使った例文となります。
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半ちくの会話例
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誰か良い男を紹介してって? うーん誰かいたかなー?
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総務の○○さんとは仲良くないの? あの人実はタイプなの。
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〇〇さん? あの人は半ちくだから止めときなよ。それよりも、俺はどうなの?
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ちょっとー、急に変な事を言わないでよ。
職場の男性が同僚女性の恋愛相談に乗っているという内容です。
半ちくの類義語
「半ちく」の類義語には、「鈍ま」「与太郎」「馬鹿たれ」「間抜け」「半ドン」「半休」「午後休」などの言葉が挙げられます。
半ちくの対義語
「半ちく」の対義語には、「徹底」「完遂」「完璧」「欠勤」などの言葉が挙げられます。
半ちくまとめ
「半ちく」は江戸弁で中途半端や閑散という意味です。仕事が出来ない中途半端な者を叱るように「この半ちく」、仕事が半日で終わった際には「半ちくになった」といった風に使いますが、飽く迄も方言なのでニュアンスを重視する言葉と理解するべきではないでしょうか。