吝嗇(りんしょく)
吝嗇は、何と読むのか分からない人も多いと思われる、難読熟語の1つです。「りんしょく」と発音し、漢字検定1級の問題として、その読みが出題されたこともあるほど難しい言葉です。一般的にそれほど使われる言葉とは言えませんが、語彙力向上の為に覚えておくといいかもしれません。意味や由来も含めて、わかりやすく説明しをしていきます。
吝嗇の意味とは
吝嗇とは、極度に物や金銭を惜しむ様を表します。よって、”けち”な人を指して使ったり、そのような性格を表す言葉として使います。よい意味は全くありません。
この吝嗇と、いわゆる”節約”は、似ているところもありますが、節約の方は、無駄を省くという意味で、決して無理に物を惜しむことではありません。このような意味の節約に対し、必要だと思われる分まで惜しむほど、物や金銭を手放したくないと執拗に執着している様子が吝嗇です。
そのように吝嗇な人のことを、俗に「吝嗇家」と呼んでいます。この呼ばれ方をされるようになっては、さすがに少し考えた方がいいかも知れません。尚、吝嗇は、”吝”にりっしんぺんを付けて、「悋嗇」と書く場合もあります。読みも同じで、意味も全く一緒です。
吝嗇の由来
吝嗇という言葉の由来ですが、最初の”吝”にけちという意味があり、後の”嗇”の方も、物惜しみをすることを意味する言葉からそのままきています。
つまり、この2文字はどちらも似たような意味の言葉で、それらをわざわざくっ付けることで、更にけちで物惜しみをする様子を表しているのです。
この「吝嗇」のように、似た意味を重ねて作られている2文字の熟語は意外と多く、「減少」(減る+少なくなる)、「獲得」(獲る+得る)、「連続」(連なる+続く)などがそれに当たります。どれも、各々の意味を更に誇張して表現している言葉で、吝嗇もそれに違わず、極度のけち、物惜しみという意味になります。
吝嗇の文章・例文
例文1.あれほど吝嗇な人は、これまでに見たことがない
例文2.吝嗇家もいいが、度が過ぎると誰にも相手にされなくなるよ
例文3.節約と吝嗇は全然違うことだと早く気付いて欲しい
例文4.彼はどうして、あれほど吝嗇な性格になってしまったのだろうか
例文5.吝嗇な人を見ると、とても嫌な気分になってしまう
決してよい意味では使わない言葉だけに、この吝嗇だと表現される人は、ほとんど場合で好かれているとは言い難いでしょう。
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吝嗇の会話例
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最近、あのブースなんか匂わない?気のせいだったらいいんだけど。
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なんでも林食さんが吝嗇家で有名みたいで、あんまりお風呂に入られないらしいです。
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えー…それは社会人としてどうなんだろう…誰か文句でも言ったらいいのに。
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そういうあなたが言ったらいいんじゃないですか?
社内の吝嗇家の人について話している様子でした。このように、吝嗇家と言われる人はあまり喜ばしくない傾向にあります。
吝嗇の類義語
吝嗇の類義語として、「守銭奴」がよく意味が似ている言葉です。ですが、この守銭奴は、金銭(と同様の価値のある物品も含みます)に対して、異常に執着心が高いという意味です。けち、物惜しみとは、若干捉え方が違います。吝嗇と同じく、守銭奴という言葉も、よい意味は全く含みません。
また似た言葉としては「清貧」という言葉もあり、こちらはどちらかというと好意的に捉えられている言葉と言えるでしょう。
吝嗇まとめ
人から吝嗇だと呼ばれるほど、恥ずかしいことはないかも知れません。節約や倹約と意味が似てはいますが、”似て非なるもの”だからです。
物や金銭を大切にすることは、もちろん悪いことではありませんが、度を過ぎてしまうと、決してよくは思われません。