哭く(なく)
「哭く」とは「泣く、又は声を出して泣くですが、主に人の死での涙」となります。読み方通りに泣く事ですが、そもそもかなり難解な文字なので、まず読めないという人が多いと思います。音読みでは「コク」なので、「哭する」は「こくする」、「哭泣」は「こっきゅう」とも読みます。どちらも「泣く」という意味合いで同時に日常生活ではあまり使われませんが、一方で小説などを日頃読んでいるなら、実は結構な頻度で使われる表現でもありますよね。それでは、より詳しい意味や由来などの解説に入らせて頂きます。
哭くの意味とは
「哭く」の意味は以下の通りとなります。
(1)泣く。大声で泣く。
(2)人の死を悲しみ泣き叫ぶ。
(3)中国での死者を弔う礼として泣き叫ぶ。
「哭く」は要するに「泣く」であり、悲しみや痛みから声や涙を出す事です。しかし、厳密には「哭く」イコール「泣く」とはなりません。それは「泣く」には、悲しみや痛み以外にも喜びや嬉しさも含まれているからです。スポーツで優勝したチームの選手の感動の涙、または子供が産まれた時の喜びの涙は「泣き」であり、「哭き」とはならないからです。「哭き」は古代中国が発祥とされ、元々は人の死を弔う涙からなので、逆に言うなら亡くなる以外では使わないのが正しいようです。前文で紹介した「哭泣」も、泣くという意味合いですが、こちらも正確には「大声を上げて泣く」「号泣」「葬儀で人の死を悲しみ泣き叫ぶ」となるので、同様に大事な人などが亡くなった際に使うのは正しいのです。しかし、最近では使い分けが明確ではなくあやふやで、特に小説や歌詞などでは作り手が単に「泣く」よりも意味深になるからと思わせぶりに「哭く」を使う事もあります。受け手としては、「哭く」とする事で深い感情があると推測でき、それが狙いなのでしょうが、例えば恋人との単純な別れ(生き死にではない)で「哭く」と表現されてもどうも腑に落ちない感もあります。従って、「哭く」とは「泣く」であり、本来は人の死について涙が溢れたり大声で泣いてしまう事ですが、最近は死以外の「泣く」でも使われ線引きが曖昧になってしまっています。
哭くの由来
「哭く」は中国発祥の文字で日本同様に「泣く」という意味ですが、残念ながらそれ以上は不明です。いつ頃日本に入り浸透したのかなど、分かっていません。文献としては、鎌倉時代の軍記物語「平気物語」(13世紀)などに文言が記されています。
哭くの文章・例文
例文1.高齢の父が天国に旅立ち、年甲斐もなく感情露わに哭き倒してしまった。
例文2.コロナの影響か昔の知人がまた一人命を絶ったと聞き、哭くほど辛い気持ちで胸が締め付けられた。
例文3.妻から、「そんなに哭かないで」と声を掛けられた。
例文4.期待の新鋭小説家が、哭くをテーマにした新作を発表した。
例文5.家族だけでなく愛犬まで他界して、哭く涙が枯れ果てるほどに哭きつくした。
大事な人の死去などで「哭く」を使った例文です。
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哭くの会話例
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コロナが終息しないけど、これで五輪開催されたらどうなると思う?
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外国人観光客を受け入れるか否か、そして日本人も観戦するかどうか、後はワクチンの摂種率にもよるけど、開催したら世の中に自粛しなくて良い雰囲気は漂うよね。
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うん。無観客開催でも飲み屋などでまたお客が集まるから、コロナが猛威を振るう!
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すると医療現場がひっ迫して、コロナで亡くなる患者も増えて、家族は永遠の別れから哭くという最悪のケースになりそう。
コロナ渦で五輪を開催したらという仮の設定で、男女が会話をしています。
哭くの類義語
「哭く」の類義語には、「鬼哭」「歔欷」「飲泣」「号泣」「慟哭」などの言葉が挙げられます。
哭くまとめ
「哭く」とは「泣く」と同じ意味ですが厳密には人の死で使うのが一般的で、喜びや嬉しい際の涙では使いません。家族や身内など大切な人が亡くなると自然と涙が溢れ、場合によっては号泣しますが、そんな様を「哭く」や「哭泣」と表現します。最近は通常の悲しい等でも、「泣く」を強調したり深読みさせる狙いで「哭く」とする場合もありますが、本来は宜しくない表現となります。