嚢中の錐(のうちゅうのきり)
「嚢中の錐」とは「錐が袋を破って刃先が見える事から、優秀や才能ある人はどうしても目立ってしまう喩え」です。世の中には発掘されていない才能についての言葉として「眠れる才能」「隠れた才能」「埋もれた才能」などがありますが、今回は「才能ある人物は目立ってしまう」となります。同じ才能に関する言葉でもそれぞれ微妙に異なりますが、「嚢中の錐」は大勢の凡人と一緒に居ると才能が際立つと解釈できます。それでは「嚢中の錐」の解説となります。
嚢中の錐の意味とは
「嚢中の錐」の意味は以下の通りとなります。
(1)真に優れた人はどんな環境下でも才能が現れて目立ってしまう喩え。
(2)袋の中に錐を入れると自然と袋を突き抜け刃先が見える事から転じて、優秀な人は凡人の中から自然と突き抜けて才能を現す。
(3)「嚢中之錐」「錐嚢中に処るが如し」も同義。
”嚢中”は「袋の中」「財布の中」「所持金」、”錐”は「板材に穴を開ける工具」「(穴を開ける工具なので)鋭い」で、そのままの意味なら、袋の中に錐を入れておくと先が鋭いので時間が経過すると破ってしまい刃先が外に露わになる事です。そこから錐を優秀な人に置き換えて、本人は目立たないようにしていても凡人と一緒に居ると才能が余計に顕著となりいずれは錐が袋を破るように、自然と突き抜けて頭角を現すのが「嚢中の錐」です。よって、才能を隠す事は出来ない、才能ある者は世に羽ばたくといった意味合いの言葉ですが、もっと単純に言えば優秀な人を称える諺となっています。
嚢中の錐の由来
「嚢中の錐」の由来は、中国前漢時代の歴史書「史記」の平原君伝となります。
嚢中の錐の文章・例文
例文1.兄は小さな田舎では嚢中の錐として学力は飛び抜けた存在だったが、その勢いで東京の有名大学に入ったら初めて挫折を感じたようで、そこから心が折れて浪人をしてしまった。
例文2.友人は性格が良く話も面白くて一緒にいると楽しいが、それ故に彼の引き立て役として嚢中の錐に貢献している凡人である自分が不甲斐ない。
例文3.自分自身では嚢中の錐な類稀な人物だと思っていたが、世間から言わせると路傍の石で何もない凡人という事らしい。
例文4.時代の先を読んで成功した人は、仮に他の分野でも成功できる嚢中の錐という訳で、何もしないで批判ばかりする普通の人との差は歴然だ。
例文5.確かに子供の頃は嚢中の錐だったが、そこから真剣に努力をしなくなり落ちぶれてしまった。
才能ある人と凡人で「嚢中の錐」を使った例文です。
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嚢中の錐の会話例
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ちょっと相談に乗ってくれる?
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どうしたんですか? もしかして、借金取りに追われているとか。
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そうじゃないよ。実は転職を考えていて…、このままいても埋もれていくだけだから、それなら異業種で頑張って嚢中の錐として唯一のスペシャルな存在になりたいって。俺の考えは変かな?
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誰も一度は転職を考えますからね。でもいい会社に入るなら、年齢的にもラストチャンスなので頑張って下さい。
転職を考えている男性が知人女性に相談をしています。
嚢中の錐の類義語
「嚢中の錐」の類義語には、「嚢中之類」「頭角を現す」「右に出る」「出る杭」「鶏群一鶴」などの言葉が挙げられます。
嚢中の錐の対義語
「嚢中の錐」の対義語には、「出る杭は打たれる」「能ある鷹は爪を隠す」「食い付く犬は吠え付かぬ」「大賢は愚なるが如し」などの言葉が挙げられます。
嚢中の錐まとめ
「嚢中の錐」は優れた人はどんな環境下でも才能を発揮して目立ってしまう事です。それだけ才能ある人は否応なしに注目を集めるので凡人の中にいると際立ってしまいます。学校生活や会社の中には様々な人がいますが、その中には驚くほど才能があって存在感を発揮している人がいますよね。そんな人を称える諺ともなるのが「嚢中の錐」なのです。