地頭(じあたま)
「地頭」とは「学歴などでは推し量れない、その人が備え持つ才能めいた賢さ」です。これまでは学校の成績が良いと「頭がいい」と言われ、現在でもこのような評価の形も決して間違いではないですが、成績だけでは判断しない才能めいた賢さも認められるようになっています。特に若い世代は頭に詰め込んだ知識だけの賢さよりも、論理的思考や柔軟な発想力などを好む傾向があり、こちらの方が本来の賢さとして「地頭がいい」と評するのです。
地頭の意味とは
「地頭」の意味は以下の通りとなります。
(1)その人が元から備え持つ頭の良さで、特に論理的思考力やコミュニケーション能力の高さ。
(2)かつらなどを被らない素の頭の姿。地髪の事。
(3)「じとう」と読む場合は、鎌倉幕府や室町幕府が設けた末端役職で、江戸時代になると領主に対する呼び名になる。
(4)「じがしら」と読む場合は、能楽用語で地謡の統率者や太鼓などの手配りの名称。
”地”は「大地」「土地」「影響の及ぶ範囲」「皮膚や肌」「生まれ付きの性質」「根底」など、”頭”は「人や動物の首から上の部分」「毛髪を主体とした頭部」「物の最上部」「大勢の中で主だった者」などで、鎌倉時代や江戸時代の役職や領主を「地頭」(じどう)と呼んでいましたが、現在においては頭が良い人を「地頭」として、「地頭がいい」や「地頭を鍛える」「地頭の良さ」と言います。単純に学校の成績が良いや学歴という事ではなく、その人が生まれ持つ賢さや備え持つ頭の良さというニュアンスで使われ、特に論理的思考やコミュニケーション能力が高いのが「地頭」となります。ですから、意識が高い若者などは周囲から「地頭がいい」と思われたくて、難しい本を読んだりして人とは違う思考を身に付けようと努力をしています。しかし、そのような繕った賢さを身に付けた人が増えると周囲より目立つ事は出来ないので、結局は「地頭がいい」と評価をされなくなります。また、最近は両親が我が子を「地頭がいい子に育てよう」と躍起で、そんな内容の手引書やネットなどから情報を入手しています。これまでの感覚なら「頭がいい」と言われるだけでも十分なのですが、どうも成績が良いだけでは独創的な発想ができないやコミュニケーション能力がないと深読みされるとして、「地頭がいい」と評価される方が現代的であり、より賢いと思われる傾向になっています。
地頭の由来
「地頭」の由来は残念ながら不明ですが、文献では”じとう”として平安時代の公卿・藤原宗忠の日記「中右記」(1118年)などに文言が記されています。
地頭の文章・例文
例文1.地頭を鍛えるトレーニングを連日繰り返しているが、今のところは効果がまったくない。
例文2.屁理屈を嬉しそうに語るユーチューバ―は、子供達や信者から「地頭がいい」と言われる度に鼻高々で満面の笑みをこぼした表情をしているのが手に取るように分かる。
例文3.そもそも両親の頭が悪いのに子供の地頭が良くなる訳がないが、それでも僅かな可能性に期待を寄せるのだろう。
例文4.ネットの中では物知りで通っているが、現実世界では誰からも地頭がいいなんて言われず、それどころか何を考えているの分からない不気味な人で通っている。
例文5.高いコミュニケーション能力を地頭とするなら、胡散臭い笑顔で物件を売りつける不動産やディーラーの営業マンは全員が秀才になるが、実際は歩合給から販売ノルマを達成する為に客に綺麗事を並べるだけだ。
賢いや頭がいいとして「地頭」を使った例文です。
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地頭の会話例
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また課長がミスをして…、それを俺が庇っているから、もう大変だよ。実質は俺が課長みたいなものだよ。
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そんなにボヤかないでよ。あなたの地頭がいいのは知っているから。
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俺は頭が良くないって。ただ、課長や同僚のレベルが低いんだよ。俺が辞めたら、この職場はもう大変になるんじゃないのか?
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でも、そんなあなたを中途採用してくれたのが今の職場でしょう。少しは感謝しないとね。
職場の上司や同僚を見下す夫と、それを嗜めている妻の会話内容です。
地頭の類義語
「地頭」の類義語には、「優秀」「賢い」「利口」「有能」「頭の回転が早い」「クレバー」「機才」などの言葉が挙げられます。
地頭の対義語
「地頭」の対義語には、「劣等」「拙劣」「劣悪」「平凡」「凡人」「馬鹿」「無能」などの言葉が挙げられます。
地頭まとめ
「地頭」は鎌倉時代などの役職や地髪などの事でもありますが、一般的には「頭が良い」や「本質的な賢さ」を指す言葉です。「地頭がいい」「地頭を鍛える」といった使い方がされ、学校の成績や学歴などでは測れない才能めいた能力として、特に若い世代などは周囲からそう思われるように努力をしています。