委託介入(いたくかいにゅう)
リーマンショックなど世界的な景気混乱になると、ニュースでも連日株価が大暴落したと報じられますよね。その時に、「市場介入」や「委託介入」という言葉を聞いた記憶がありませんか? 特にアメリカやEU絡みの経済報道の場合は、これまで何度か「委託介入」と報じられた事があります。どちらかと言うと、「協調介入」や「為替介入」の方が馴染みがあるかも知れませんが、それらも含めて解説を始めていきます。
委託介入の意味とは
「委託介入」の意味は以下の通りとなります。
(1)当該国の中央銀行が他国中央銀行に対し、その市場(為替)介入の実施を委託する。
(2)為替介入の一つが「委託介入」で、他国から逆に委託要請されるのが「逆委託介入」。
(3)外国為替の売買を行い、急変動している通貨を抑える目的がある。
「委託介入」とは「協調介入」や「為替介入」と同じような意味を持ちますが、どうも今一つ理解が難しいですよね。なぜなら、「為替介入」の一つであり実際の報道ではあまり多く使われる言葉ではない現状があります。実際には「為替介入」をしているので、そこから「委託介入」と詳しく掘り下げて解説するケースは稀だからです。では、「委託介入」が何かと言うと、それは”当該国”と”他国”となるのが重要で、要するに二か国だけの「為替介入」となります。逆に「協調介入」は、”協調”が付く事からもアメリカなど複数の先進国が協力した「為替介入」となります。また最大の違いとしては、資金の出処という点があります。日本の通貨”円”を安定させる目的とする場合、日本の資金が使われるのが「委託介入」で、逆に他国通貨の為に自国の資金を使うのが「為替介入」です。ですから、「為替介入」の方が規模も効果も大きいが、それぞれの国が自らの資金を使うので、そんなに頻繁には実施できず、所謂世界的な不況や混乱で為替市場がパニックになっている時に実施されます。「委託介入」は基本的には二か国間であり、その相手国から要請されて実施するのは「逆委託介入」となります。
委託介入の由来
「委託介入」の由来などは、残念ながら分かっていません。”委託”には、委ね任せる、人に頼んで代わりにお願いするという意味があります。また、資金を預けて運営を頼むという意味も含まれるので、今回の「委託介入」も自国資金が用いられます。
委託介入の文章・例文
例文1.委託介入をする事で為替相場は安定するが、それでも不安定な場合は協調介入に頼るしかない。
例文2.委託介入とは要するに大規模な為替取引と言える。
例文3.リーマンショック級の経済混乱が起きれば、委託介入が行われるだろう。
例文4.株式市場では委託介入などはないが、24時間取引されている為替市場は規模も大きくそれだけに通貨の安定が求められる。
例文5.日本は三大市場の一つで規模が大きいので、委託介入をお願いするのはアメリカのNY市場とイギリス・ロンドン市場のどちらかだ。
「委託介入」の説明文となります。
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委託介入の会話例
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最近、為替の勉強をしているけど本当に難しいね。
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確かに専門用語が多いよね。それで、何が知りたいの?
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委託介入って一体何なの。まったく分からない!
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委託はお願いするという意味だから、相手国に我々の通貨安定に協力して下さいと介入をお願いする事だよ。分かった?
「委託介入」を簡単に解説する会話です。
委託介入の類義語
「委託介入」の類義語には、「為替市場介入」「単独介入」などの言葉が挙げられます。
委託介入まとめ
「委託介入」とは、他国の中央銀行に為替安定の為に為替介入の実施を委託する事です。「為替介入」の一つが「委託介入」で、委託を要求する側の資金を使います。実際には、リーマンショックや特定通貨が連続して暴落しない限り介入されないので滅多に行われませんが、トランプ政権は中国に対抗しドル安を狙った「為替介入」(委託介入)を狙っているようですし、今後の世界経済の不透明さを考慮すると、いつ起こってもおかしくありません。また、状況次第では「委託介入」ではなく「協調介入」が控えています。