山師の玄関(やましのげんかん)
「山師の玄関」とは「真っ当な仕事だけでなく詐欺師や投機家という面も込められた”山師”を、中身がないのに外見ばかり重視すると揶揄する諺」です。本当は大した人物ではないのに外見ばかりを気にしていると、周囲からは「山師の玄関」と呼ばれてしまいます。これはもちろん皮肉や揶揄いであり、最も人目がつく玄関は豪華なのにそれ以外は平凡や普通以下だと、実態が伴っていないや本質を理解していないとなるのです。
山師の玄関の意味とは
「山師の玄関」の意味は以下の通りとなります。
(1)実質がなく外見ばかりを立派に飾る事。
(2)かつての投機的な職業である山師は金持ちを装い玄関を特に豪華にする事から、外見を立派に飾り中身が無いや疎かな喩え。
”山師”は「鉱脈の発見など採掘事業を行う人」「山林の買付などを請け負う人」「投機的な事業をする人」「詐欺師」「イカサマ師」で、きちんと山林に関する事業を行う人もいますが怪しい投機的な仕事をしていたり詐欺師なども含めています。そんな人達の多くは見栄えの為に外見を派手にしていて、当時は家の中は普通なのに玄関だけは豪華にお金を掛けていた事から「山師の玄関」と呼ばれます。当然ながら嫌味や揶揄する表現となり、外見を気にする人に対して「まるで山師の玄関のようだ」となるのです。実力や中身があって外見を気にする分には文句ありませんが、兼ね備えていない事から腹が立つように、或いは世間からそんな風に見えると忠告のように使う場合もあります。
山師の玄関の由来
「山師の玄関」の由来として、”山師”は元々は「山仕」や「山主」「山元」とも呼ばれていました。当初は江戸時代に活躍した鉱山業者の事で、そこで成功を収めた者は他の事業にも手を出すようになって鉱脈を発見したり山林そのものを買い付けるなど手広くなるのですが、時代が転換期を迎えると失敗をする者も増えて、扱う金額が大きいと損失額も嵩むので投機的な仕事や詐欺師の喩えにもなったのです。「山師の玄関」がいつ頃から登場したのかは明確には定かではないですが、文脈としては江戸時代の小説集「洒落本」の「不仁野夫鑑」(1787年)などに文言が記されています。
山師の玄関の文章・例文
例文1.パチンコに行くと山師の玄関のような輩が多く、反面教師を探す社会勉強には良い場所だ。
例文2.YouTuberはそれこそ山師の玄関だらけで、リースの高級車をさも購入したように動画で自慢をして、数か月ペースで「ひと月に何百万稼ぐが何千万に爆上げし」、仕舞いには世界一の富豪や成功者のように振る舞うが、それなら撮影スタッフをプロにすべきではないのかと忠告したくなる。
例文3.ファッション業界も闇だらけで、自称スタイリストが今にも捨てたくなる服を無理やり着飾ってコーデがどうしたとほざくと、山師の玄関はどんな世界にも存在して庶民から金を搾取する事しか考えていない寂しい奴と思えてくる。
例文4.お笑い芸人と言いつつ台本ありきでしか何も話せず、どこかで見たような高級ブランドに身を包みモデルのように振る舞う姿には、大人しく山師の玄関でしかないと自覚が出来ないものなのか。
例文5.黒と白の服にiPhoneだけは異常に拘り、自分の楽な生き方とミニマリストを唱えるクセにAndroidやWindowsを犯罪者が持つ社会の底辺のように軽蔑し、その癖に何もない部屋をせっせと掃除しては動画やSNSに投稿して承認欲求を欲しがるのが本質的に山師の玄関であると自覚ゼロだから、実に難しい人達だ。
「山師の玄関」を使った例文となります。
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山師の玄関の会話例
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この前、知り合いの○○さんの自宅に行ったんだけど…。
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あのボートレースばかりやっている人の事?
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そうそう、競艇が好き過ぎてレース場の近くに自宅を購入したという伝説を持つ人ね。羽振りが良いから、相当な豪邸だと思ったら玄関だけ見栄えが良くて、正に山師の玄関なんだよ。でもね、本人はワザとそうしたって強がっているんだよ。
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でも本当にそうかもよ。だって、高級時計もパチもんって分かっていて着けているんでしょう。そういう人っているって。
ギャンブル好きな知人宅を訪問したという会話です。
山師の玄関の類義語
「山師の玄関」の類義語には、「藪医者の玄関」「医者の玄関構え」「玄関を張る」「門戸を張る」「見栄を張る」などの言葉が挙げられます。
山師の玄関の対義語
「山師の玄関」の対義語は厳密にはありませんが、強いて挙げるなら「質実剛健」「山高きが故に貴からず」「碗より正味」などの言葉が挙げられます。
山師の玄関まとめ
かつての職業である”山師”は山林関係だけでなく詐欺師や投機家という意味もあり、このような生業をしている人は自宅は玄関を豪華にしたり服装も着飾る事から、外見重視で立派にする人の喩えです。派手な外見に対して中身は伴っていないので、他の人は「山師の玄関」と皮肉のように言います。