張子の虎(はりこのとら)
「張子の虎」とは「玩具の虎から、首を振る人や虚勢を張るだけの人の喩え」です。外見を変えると気持ちにも変化が生じるのは理解できますが、だからといって特別な力が身に付いたと思うならそれは大きな勘違いですよね。外見は飽く迄も単なる見栄えで、中身が伴わないと無意味であると理解しなくてはなりません。
張子の虎の意味とは
「張子の虎」の意味は以下の通りとなります。
(1)虎の形をした首振り玩具から転じて、首を振る癖がある人を揶揄したり、虎のように虚勢を張る人や見掛け倒しな人を嘲る喩え。
(2)「張抜の虎」「首振り虎」も同義。
”張子”は「紙を重ねて作る細工物」「紙製の張りぼて」「紙の玩具」から、紙で作った虎の形をした玩具が「張子の虎」です。この玩具は首だけが糸で胴体に付けてあり左右に動く仕掛けで、そこから「首を振る癖がある人」や紙の虎で怖くない事から「虚勢を張る人」「見掛け倒し」「外見と中身が伴わない」といった相手を嘲る言葉になります。簡単に言えば、大した事がない人を馬鹿にする際に使い、例えば体は大きいのに弱虫であったり、ピンチの時に頼りにならない人などを「張子の虎」と喩えるのです。
張子の虎の由来
「張子の虎」は古代中国の虎を最強で特別な動物と崇める「虎王崇拝」によるもので、当時は宗教から文化にまで大きな影響を与えて(子供向けの)玩具や飾りなども数多く作られました。その中の一つである「張子の虎」が江戸時代に日本に入ったのが始まりとされます。文献としては江戸時代の雑排「川柳評万句合」などに文言が記されています。
張子の虎の文章・例文
例文1.どいつもこいつも筋トレしてタトゥーを入れれば無敵だと勘違いをしているようで、そんな張子の虎には絶対にならないと酒とコーラをがぶ飲みする。
例文2.地方の田舎道を走ると人は居ないはずなのに改造車を走らせる連中は次から次にやってきて、爆音を立てるほど張子の虎と自ら名乗っていると気が付かないのだから幸せだ。
例文3.普段はスマホだけが友達でいつも下を向いて歩いているのに、日本が1勝すれば全てがバラ色と渋谷でハイタッチを繰り返し叫び声を上げる姿は張子の虎にしか見えない。
例文4.前を歩く人は首が痛いのか横に傾けたり振ったりするので、こんなところに張子の虎がいると、危うく動物園に連絡を入れそうになった。
例文5.どんなに強がっても日本人とはアメリカ人や中国人に怯える張子の虎であるのに違いない。
「張子の虎」を使った例文となります。
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張子の虎の会話例
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今日の課長、部長がいるからってまた威張って嫌な感じだよ。
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ああいう人って虎の威を借る狐ですよね。
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張子の虎でもあるよ。声だけで威嚇するけど、体は凄く小さいから。
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誰かに聞かれていないかと、びくびくしながら文句を言う私達も相当情けないですけどね。
同僚同士が上司を批判する会話内容です。
張子の虎の類義語
「張子の虎」の類義語には、「弱虫」「敗者」「羊頭狗肉」「羊質虎皮」「虚仮おどし」「見掛け倒し」「徒花」などの言葉が挙げられます。
張子の虎の対義語
「張子の虎」の対義語には、「文質彬彬」「見た通り」「見ての通り」「実勢」などの言葉が挙げられます。
張子の虎まとめ
「張子の虎」は紙で作った玩具の虎から、首を振る癖がある人や見掛け倒しな人の事です。虎のような姿形だが所詮は紙という事から、一見すると強く怖そうだが中身は弱い場合などに用いる有名な諺です。