彼此(あれこれ/かれこれ/ひし)
「彼此」とは「あれとこれ、色々、大凡、とやかく等々の意味を持つ言葉」です。ちょっとした日常会話で何気なく「あれこれ」や「かれこれ」を口にする人は意外にいると思いますが、その漢字表記が「彼此」となる事を理解しているのは少ないと思います。さらには「ひし」とも読むのはかなりの難解レベルではないでしょうか? それでは解説に入らせて頂きます。
彼此の意味とは
「彼此」の意味は以下の通りとなります。
(1)あれとこれ。あの事とこの事。こちらとあちら。
(2)あの人とこの人。誰や彼や。
(3)二つ以上の物事を漠然と指し示す事。
(4)いくつもの事柄に関わりを持つ事で、とやかく・色々など。
(5)時間や数量などが大体近い事で、大凡・そろそろなど。
「彼此」は「あれこれ」「かれこれ」「ひし」と読み、読み方に応じて多少意味合いは異なりますが、基本的には「あれとこれ」「いろいろ」「あの事とこの事」「とやかく」「そろそろ」となり、これらは前後の文脈などから判断をするしかありません。使い方は大凡の時間として「東京に越してから彼此(あれこれ/かれこれ)3年は住んでいる」、いくつもの注意の「母は勉強しろと彼此(あれこれ/かれこれ)煩い」、色々な事が重なり合っては「彼此(ひし)相俟って」が代表的な多い形となります。他の使い方は古文や漢詩的な表現が強くなるので、日常生活ではあまり見かけません。
彼此の由来
「彼此」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては鎌倉時代の仏教経典「妙一本仮名書き法華経」や平安時代に成立した日本最古の日記文学「土佐日記」などに文言が記されています。
彼此の文章・例文
例文1.子供の頃は両親が「勉強しろ」と彼此言うのが煩わしかったが、自分が大人になると全く同じ事を子供に言うようになるのだからおかしくて仕方がない。
例文2.今日はコンビニやスーパーで買い物をしたので、彼此で3000円ぐらい使った。
例文3.東京を脱出してパリに住み始めて彼此で3年ぐらい経過したが、フランス語は相変わらず話せないので間抜けな日本人相手に説教を商売にして小銭を稼いで暮らしている。
例文4.我他彼此しないで互いに安堵して暮らせる日々が待ち遠しい。
例文5.彼此の死生観を知ってからは少しだけ成長したように感じる。
「彼此」を使った例文となります。
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彼此の会話例
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ただいまー。ちょっと、まだゲームをしているの…。そのパジャマって朝も着ていたよね。
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そうよ。あなたを朝見送ってからずっとゲームをやっていたから、パジャマから着替えてないの。
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だらしないなー。彼此10時間ぐらい同じ格好じゃない?
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10時間じゃきかないって。前の日からパジャマなんだから20時間以上はずっと着ている事になるね。
前日からずっとパジャマで過ごしゲームをしていたズボラな妻に呆れる夫という内容です。
彼此の類義語
「彼此」の類義語には、「色々」「様々」「多種多様」「ざっと」「ほぼ」「大抵」などの言葉が挙げられます。
彼此の対義語
「彼此」の対義語には、「丁度」「きっちり」「画一」「詳細」「単一」などの言葉が挙げられます。
彼此まとめ
「彼此」は「あれこれ」「かれこれ」「ひし」と読む言葉で、特に「あれこれ」と「かれこれ」は「色々」や「大凡」とした意味合いで使われます。前後の文脈によっては「あちらとこちら」という意味の「ひし」にもなるので実際に使う際には注意が必要です。