御役所仕事(おやくしょしごと)
「御役所仕事」とは「不親切や非能率な性格や仕事振りを役所の対応のようだと喩えた言葉」です。公僕以外の民間人からすると、役人とは税金が給料となるのでライバル他社との競争や営業成績で怯える心配も皆無で大変楽に感じるものです。それは羨ましい気持ちからの妬みでもあり、だから仕事が出来ない人や不愛想な人に柔軟性が欠ける人を思わず「御役所仕事」と貶したくなるのです。役人でも大半は真面目で仕事能力も高いのですが、どうしてもそんな悪いイメージを大勢が共有をしているので「御役所仕事」と言ってしまうのでしょう。
御役所仕事の意味とは
「御役所仕事」の意味は以下の通りとなります。
(1)まるで役所のような形式に拘り、不親切で非能率な仕事を揶揄して使う。
(2)役所は時間と手数をかけて融通が利かないので、そんな仕事振りを非難した言葉。
(3)「お役所仕事」「役所仕事」も同義。
”御役所”は「役所の敬称」「形式的な役所対応を皮肉った言葉」、”仕事”は「する事」「した事」「生計を立てる職業」「行動を起こす」で、役所の対応を皮肉ったり非難したのが「御役所仕事」です。役所とはどうしても前例主義で決まった通りにしか動かないので、それが大勢には融通が利かず効率が悪いと映ります。そんな様子から役所の対応以外でも、一般企業でも仕事が出来ない人や積極的でない人、或いは仕事以外でも受け身な性格であったり冷淡や無気力な人に頑固で融通が利かない人などを「御役所仕事」と喩えて表現します。さらには、緊張感がない人や定時で必ず帰る人、給料泥棒のような喩えでも使われ、要するにかなり相手を馬鹿にしたのが「御役所仕事」です。「御役所仕事」は造語のようなもので明確な定義はないので、役所だけでなく政治家や公務員全般に用いる場合も多く、例えば議員や官僚のふざけた国会答弁や不祥事でも、一般人が諦めのように「御役所仕事だから…」と使ったりします。
御役所仕事の由来
「御役所仕事」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては建築士・今和次郎の著書「新版大東京案内」(1929年)などに文言が記されています。
御役所仕事の文章・例文
例文1.マイナンバーの手続きで10年振りに役所を訪れたが、建物だけは立派に建て替え肝心の窓口業務は御役所仕事に拍車がかかり呆れてしまった。
例文2.3日連続で定時帰宅をしたら、上司から「俺達は御役所仕事じゃねーんだぞ」と胸ぐらを掴まれたので、これは辞めるしかないと父に相談したら、父からもやる気を出せとビンタをされ踏んだり蹴ったりだ。
例文3.役所で派遣として働く妻は周囲に影響を受けたのか、段々と家庭内でも御役所仕事が板につき、家事もまったくやる気がなくなり、仕舞いには夫である自分や子供の事を「次の方」や「そちらの方」と呼ぶようになった。
例文4.マイナポイントを貰う為の面倒な手続きこそ、日本が世界に誇る御役所仕事の真骨頂が全開で、これを一人暮らしの高齢者が貰うのは不可能だと考えられない想像力の低さに辟易する。
例文5.マク〇ナ〇ドの店員は御役所仕事の対極のように笑顔100%だが、近所の古惚けたスナックのママはさらに心のこもったスマイルをしながら飲み代だけは毎回ぼったくる。
様々な「御役所仕事」を使った例文となります。
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御役所仕事の会話例
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何か、来月からまた給料下がりそうなんだよ。
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ちょっと、会社できちんと働いているの?
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俺は真面目に頑張っているよ。でも、上司からは評判が悪いな。この前はみんなの前で「御役所仕事」って貶されたし。
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それじゃないの? あなたはおっとりした性格だから、テキパキと仕事をするのが苦手なのよね。でも、酷い上司よね。
夫が仕事の愚痴を妻に吐露しています。
御役所仕事の類義語
「御役所仕事」の類義語には、「遣っ付け仕事」「雑な仕事」「前例主義」「保守精神」「事なかれ主義」「権威主義」「手続主義」などの言葉が挙げられます。
御役所仕事の対義語
「御役所仕事」の対義語には、「革新」「進歩的」「効率主義」「商業主義」「経済主義」「功利主義」「売上至上主義」などの言葉が挙げられます。
御役所仕事まとめ
「御役所仕事」はまるで役所の窓口のような融通が利かない対応や非能率な仕事振りを揶揄や非難した言葉です。ですから、役所以外でもそんな無駄が多い仕事振りや無気力な性格にダメ出しのように「御役所仕事」と使います。