情緒(じょうちょ)
「情緒」とは「独特で複雑な微妙な感情や雰囲気、或いは急激な感情などの事」です。感動したり笑ったり泣いたりも「情緒」なので喜怒哀楽の事ですが、単純にこれらには該当しないであろう微妙の心の動きも「情緒」となります。ですから簡単なようで正確に理解をするのは実に難しい言葉とも受け取れます。良い面も悪い面も含めた複雑な感情といった表現が最も適切と思いますが、これも個人的な思いや主観であり、正解とは言い切れません。そんな「情緒」について詳しく調べてみました。
情緒の意味とは
「情緒」の意味は以下の通りとなります。
(1)事に触れて起こる微妙な感情。
(2)感情を起こさせる特殊な雰囲気。
(3)人間や動物が抱く喜びや悲しみなどの気持ちである「感情」の一つ。
(4)「情動」も同義扱い。「じょうしょ」とも読む。
「情緒」とは端的に言うと感情や雰囲気の事ですが、これらをさらに深く入り込んだもので、優しい感情であったり情熱、または郷愁を感じさせる独特の気持ちとなります。よって、怒り・悲しみ・喜び・恐怖といった全ての気持ちに対する微妙な心の動きが「情緒」なのです。例えば、壮大なクラシックや激しいながらも美しい旋律のジャズなどを聴いてその音楽からの歴史に感銘を受けたり、純粋に素晴らしい曲と感動した場合も「情緒を受けた」や「情緒を感じる」となりますし、京都や奈良を旅行して歴史ある神社仏閣や風景に趣を感じても「情緒ある景色」や「情緒あふれる街」といった使い方ができます。これらから、嬉しい感情や感極まる際にポジティブな表現として特に大人が好まれる傾向があります。一方でポジティブな意味合いばかりでなくネガティブな使い方も多く、「情緒不安定」は感情や気丈が激しく短気で怒りっぽい人や憂鬱持ちな人に対して使うので、あまり嬉しい言葉とは言えません。また、皆が感動するような事柄に対して無関心を装う人や他とは面白さがズレている人などを「情緒がない(人)」として、陰口などで用いる事も多々あります。要は、面白くない・退屈・薄っぺらいという場合に皮肉や嫌味のように「情緒がない」「情緒に欠ける」となり、これは「風情がない」「趣がない」ともほぼ同義です。他には「下町情緒」「情緒障害」なども有名で、特に「下町情緒」は一見するとかつての浅草や根岸など東京下町の記憶を蘇らせる趣を良しとする言葉と受け取れますが、一方で下町ならではのゴチャゴチャしていて街全体が煩い事を皮肉として使う場合もあります。こんな場合は「下町情緒が合わない」「下町情緒はデリカシーがない」となり、「下町気質が嫌い」の別表現と理解できます。最後にまとめると、「情緒」は良くも悪くも日本人らしい本質をぼやけさせて、漠然と全体を掴むよな言葉とも言えてしまいます。
情緒の由来
「情緒」の由来は残念ながら不明です。文献としては、飛鳥時代の皇族・聖徳太子の伝記「聖徳太子伝暦」(917年頃)などに文言が記されています。
情緒の文章・例文
例文1.病院からの帰り道、医者からの忠告に荒れる情緒を落ち着かせるには、まずは甘いコーヒーを一杯飲んで糖尿病の現実を忘れる事に限る。
例文2.京都を歩くと、情緒を感じているという真っ最中というフリしたスマホ片手に最新ファストファッションの20代が大勢集まっているので、これはこれで趣がある。
例文3.演歌は中高年の情緒を代弁して歌っているが、それを爆音でかけたトラックが爆走している姿を見るたびに、煽り運転は絶対に無くならないと思えてならない。
例文4.健康的な男性が日常から情緒を感じるのは、夕方のニュース番組で女子アナが派手な衣装で原稿を読み上げている時に、突然隣の男性キャスターの顔がアップになって我に帰る時だろう。
例文5.情緒不安定な友人とボーリングをしたらガターの度に落ち込む姿に、気晴らしでやってきたのに余計に悪い事をしたと反省をした。
様々なケースで「情緒」を使った例文となります。
- [adsmiddle_left]
- [adsmiddle_right]
情緒の会話例
-
あれ、いつもはここに置いてあるアレがないんだけど。
-
どこかに置いてあるんじゃないの?
-
そんな事はないよ。絶対に、絶対にここにあったんだ!
-
もう、またあなたの情緒不安定なところが出た。お母さんに電話して、家に来てもらいますか。
情緒不安定気味なマザコン夫と、それに対処する妻の会話やり取りです。
情緒の類義語
「情緒」の類義語には、「情趣」「情味」「興趣」などの言葉が挙げられます。
情緒まとめ
「情緒」は怒りや喜びなどの感情の一つで、より微妙や繊細で言葉では表現するのが難しい気持ちの事です。よって、特殊な雰囲気やそんな空気感めいた感情や気持ちの事で、素晴らしい景色や美しいメロディで感動して「情緒を感じる」から、イライラや不安などの「情緒不安定」という使われ方もされます。