愚直(ぐちょく)
「愚直」とは「性格は真面目・正直だが仕事や勉強は苦手」や「物事を真摯に受け止め過ぎて融通が利かない人」です。例えば、どんなに学業が得意でも人を簡単に信じて騙されてばかりいたら、それは正直過ぎる大馬鹿者と世間は判断しますよね。また、一度決めたら頑なになって融通が利かないのも、ちょっとばかり問題ありです。そんな人達を的確に表現するのが「愚直」ではないでしょうか。
愚直の意味とは
「愚直」の意味は以下の通りとなります。
(1)正直過ぎて物事に臨機応変な行動を取れない事。
(2)知恵がなく正直一途で臨機応変に対処できない。
(3)馬鹿正直や生真面目な性格の人。
”愚”は「愚か」「馬鹿」「自らを謙遜する表現」、”直”は「真っすぐ」「素直」「心が良い」「直ぐに」で、素直な愚か者や愚かだが根はいい人や真面目過ぎるというのが「愚直」です。これは物事を上手や最善で解決はできないが、真剣に取り組み手を抜いていないといったところで、平たく言うなら「優秀ではないが真面目」や「ダメだけど一生懸命」となります。周囲がそんな人を評価する際にも使いますが、自らを謙遜して「愚直」とするパターンも実に多いです。この場合は本当の愚か者が使う事もあるでしょうが、大抵では普通以上の優秀な人が敢えて自己評価を下げて「愚直ですが頑張ります」や、また、周囲が使うには仕事を頑張っているが一向に成果が見られない場合などに「あの人は愚直なだけだ」となります。よって、愚かと正直を合わせた言葉なので、使い手次第でどちらかに比重を置いて含みを持たせた表現となる場合もあります。
愚直の由来
「愚直」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては室町時代の書物「応永本論語抄」などに文言が記されています。
愚直の文章・例文
例文1.新任教師は職員室や生徒達の間では愚直すぎると早くも話題だが、一見するとそんなタイプほど裏では暴力的衝動が抑えられなかったりして、後に大きなトラブルを引き起こす。
例文2.学生時代は優秀だったのに就職もしないで夢を追い続けているのは確かに愚直だが、人生とは一度きりなのだから本人が満足しているなら周りがとやかく言う必要はない。
例文3.結婚相談所や婚活パーティーでは最初は愚直さを見せつつ実は資産家や、ぶっきら棒に見えるが大企業に勤めているなど、結局は金を持っている男の周りには群がってくるので、世の中は全て金という事だ。
例文4.田舎育ちの彼女は愚直さだけを持って上京したはずなのに、東京に出て10年も経つと整形顔もスッカリ馴染み高級ブランドを持つ姿も様になる都会人というか愛人度数がとても高い女性へ激変した。
例文5.あれだけ老舗の味と愚直な頑固さに拘っていたのに気が付けば駅ビルのテナントに出店し、また暫くすると今度はランチ営業や弁当販売を始め、その後は敢え無く撤退というのがよくあるパターンになってしまった。
「愚直」を使った例文となります。
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愚直の会話例
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また、結婚の話がダメになったよー。最悪だー。
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そんなに落ち込まないで…。妹の私が言うのもなんだけど、お兄ちゃんにはいいところが一杯あるから、いつか報われるって。
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お前…、そう言って内心は馬鹿にしているんだろ? でもな、いつか、いつか…、俺のような愚直な男が評価される時代が来るんだよ。見てろよー。
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分かったから、その前に握りしめたポケモンカードを離してお風呂に入って、体臭を取る事から始めないと結婚できないって。
結婚に縁遠い兄の欠点を指摘する妹の会話となります。
愚直の類義語
「愚直」の類義語には「直情的」「率直」「くそ真面目」「四角四面」などの言葉が挙げられます。
愚直の対義語
「愚直」の対義語には「狡猾」「小利口」「ずる賢い」な「老獪」「邪知深い」どの言葉が挙げられます。
愚直まとめ
愚かだが性格は真っすぐで裏表がないとして、人間的には素晴らしく物事を真面目に取り組むが要領が悪いや物覚えが悪いといった人が「愚直」となります。ですから臨機応変に行動ができない馬鹿正直なのですが、どこか憎めないところもあります。仕事や勉強はできないが人間力は評価されるとも受け取れ、また自ら「愚直」と謙遜する形もあります。