懇篤(こんとく)
｢懇篤｣とは｢配慮や気配りができる｣や｢丁寧で心がこもっている人｣です。単に優しいや丁寧というよりも、さらに細かな気配りができる心がこもっている人間として実に素晴らしい性格の人だと思います。特に年上や年配の人に使う事が多く、普通なら横暴な態度を取ってもおかしくない中で優しく接する感激から｢懇篤｣と、まるで最上級の誉め言葉のように称えています。
懇篤の意味とは
｢懇篤｣の意味は以下の通りとなります。
(1)懇切丁寧で心がこもっている。手厚く親切な人。
(2)穏やかで思いやりがある。温かい心の持ち主。
(3)｢悃篤｣とも書き同義。
”懇”は｢真心を尽くす｣｢心を込める｣｢打ち解ける｣｢親しい｣、”篤”は｢人情に篤い｣｢熱心｣｢真面目で行き届いている｣で、どちらも心がある人という意味から非常に親切な人や思いやりの心がある人を｢懇篤｣と言います。四字熟語では｢懇切丁寧｣や｢親切丁寧｣の事となり、特に｢懇切丁寧｣は年上など立場が上にも関わらず物腰が柔らかく丁寧に対応する人に使うので、｢懇篤｣も同様に年配者の男性に対して使うことが多いです。代表的な形は｢懇篤そうな老人｣｢上司は誰にも懇篤に接する｣などですが、｢懇篤を極めた追悼文｣｢懇篤な書状｣といった様に用いるパターンもあります。少々難しく堅苦しい表現なので、普通は文章語としますが、話し言葉で使ってもそこまでおかしくはないでしょう。
懇篤の由来
｢懇篤｣の由来は残念ながら不明ですが、文献としては｢懇｣は平安時代の霊験記｢天理本金剛般若経集験記平安初期点｣や平安時代の歌物語｢伊勢物語｣、｢篤｣は平安時代中期の長編物語｢源氏物語｣などに文言が記されています。
懇篤の文章・例文
例文1.財布を拾ったので警察に届けたら後日、持ち主から｢お礼をしたい｣と連絡があり、待ち合わせ場所に出かけたらどう見ても堅気には見えない任侠世界の住人で、こっちが拒否しても｢いいから｣と譲らず豪華な高級割烹料理店でそれは懇篤な接待をされたが、嬉しいよりもなぜ財布など拾ったのかという後悔しか頭にはなく、解放された時は歓楽街のネオンが本当に天国に見えた。
例文2.パワハラで首にされた中古車店から辞表を出せと迫られたので、それは懇篤に書き上げた退職届と暴言を録音したUSBのコピーも渡してやったら気持ちがスッキリした。
例文3.某女優にしろ某スポーツ選手にしろ彼女たちは恥を恥とも思わずに変に堂々として、バカ真面目に懇篤な性格な男を高笑いして見下しているのが透けて見える。
例文4.今時は懇篤に商売をするよりも、預かった客の車は壊して保険金を不正請求するぐらいのタフさがないと出世しないが、結局は発覚して倒産の道が待っているのだから最後の秘策はパワハラで首になり普通の会社では雇ってくれない異業種の営業マンを雇って痛車専門店に鞍替えするぐらいしか術はない。
例文5.誰に対しても懇篤な性格で接しているのに、お見合いは30連敗中でこのままいけば結婚相談所の最低記録を更新しそうで、担当の相談員も頭を痛めているに違いない。
｢懇篤｣を使った例文となります。
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懇篤の会話例
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やっぱり転職しなければよかったよ。
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だから何度も止めたのに、頑固になって自分の力を試すって聞かないから。結局は後悔するじゃない。
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前の上司は懇篤な人だったのに、今の上司は最悪なんだよ。店舗の見栄えが悪いからって、俺に街路樹を枯らして処分しろって。もちろん、できませんって言ったよ。そしたら、即座に降格処分だよ。俺、入社したばかりのに秒でアルバイト扱いになって…。
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それはもう辞めるしかないけど…、ん、ちょっと待ってよ。私たちの車って、あなたの今の勤務先で買ったんじゃない。これって最悪よね。車検の時にクレームなんか入れたらゴルフボール100個でボディを殴打されたりするじゃん。
転職した事に後悔する夫とその妻の会話内容です。
懇篤の類義語
｢懇篤｣の類義語には｢人懐っこい｣｢世話好き｣｢優しい｣｢配慮｣｢気配り｣｢深切｣｢厚意｣｢恩情｣などの言葉が挙げられます。
懇篤の対義語
｢懇篤｣の対義語には｢冷淡｣｢冷血｣｢不親切｣｢冷酷｣｢冷酷無残｣｢無情｣などの言葉が挙げられます。
懇篤まとめ
相手に対して優しく丁寧で心がこもっている人が｢懇篤｣です。丁寧や親切をさらに畏まった表現となるので、目上や年上の人に使うのが望ましくなります。また四字熟語｢懇切丁寧｣も殆ど同じ意味なので、状況に応じて使い分けてみてはどうでしょうか。
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