所感(しょかん)
「所感」とは「心が感じ取ったという『感想』の丁寧な表現」です。学生時代は何かと使われていた「感想」が、大人になると「所感」に代わっていき驚く事があります。報告書なども「感想」を書くところが「所感」、大臣の思いや気持ちの表明も「感想」ではなく「所感」となり、このような変化から大人社会の暗黙ルールを感じ取って学ぶのです。
所感の意味とは
「所感」の意味は以下の通りとなります。
(1)事に触れて心に感じた事柄。心に感じ取った事。感想。
(2)仏教用語で、前世での行為が結果としてもたらすもの。
「所感」は簡単に言えば自分の心が感じたや思いとなる「感想」なのですが、「感想」は少々子供っぽいというか軽さを抱かせるのでビジネス現場などでは大人が好む表現として同義の「所感」の方が使われます。だから政治家なども何かと「所感」ですし、例えばワイドショーなどで重要な記者会見などに対するコメンテーターなどの感想も、特に肩書がしっかりした立場の人ほど「所感」という言葉を使います。さらに踏み込むなら、「感想」はフィーリング・気分・感覚といった感情を優先とするのに対し、「所感」は見解・主張・意見といったところで、「感想」は気分によってその都度で意見や思いが変わる感じもありますが、「所感」はもう少し重くて強い主張や思いがあるのです。一方、このような微妙な違いなどを無視して単に大人だからと、その場に合わせて「所感」を使う人がいるのも事実でしょう。また、「所感」は仏教用語でもあるのに対し、「感想」は仏教用語には含まれないので、その違いから「所感」は堅苦しくて「感想」は気楽とも受け取れます。
所感の由来
「所感」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては鎌倉時代の仏教語辞典「覚海法橋法語」などに文言が記されています。
所感の文章・例文
例文1.快適な海外旅行を満喫してきた議員達が、「フランス旅行から1年経過」という区切りで所感を述べたが、もう誰も興味がなくなって彼女たちの粘り勝ちで国民はまたしても負けてしまった。
例文2.政治家が平然と所感を語るほど無意味で退屈なことはなく、不眠症で苦しむ人も絶対に眠れてしまうある意味で最強の睡眠薬だ。
例文3.普段はどきつい関西弁丸出しな部長も、東京出張で本社の人たちを前にした会議では眼鏡にネクタイ姿で真剣な顔をして「先ほどの件でご所感を聞かせて下さい!」と口にするのだから、そのギャップに笑ってしまいそうになる。
例文4.最近は所属タレントに罪はあるのかないのか論争が活発だが、これだけの事件を犯した会社に所属し続けるのは罪と批判されても仕方がなく、無関係な傍観者気取りで事務所の陰に隠れて所感すらなく時間経過の逃げ切りを狙うようだが、事務所を移籍しても残留でも今後はそうはいかないと覚悟するべきだ。
例文5.窓際族な自分の唯一の仕事は日報へ1行のみ「異常なし」と所感を書き加えるだけで、これで今日の仕事は終了したら緊張が解けて汗が噴き出してきた。
「所感」を使った例文となります。
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所感の会話例
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総理や大臣が会見で所感を語るじゃない。あれって、意味があるのかな?
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意味はあるじゃない。官僚がせっかく作ってくれた原稿を読み上げるお飾りとしての立派な務めよ。
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ずいぶん辛辣だなー。
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だって偉くなればなるほど不用意な発言はできないから、優秀な官僚やスタッフが大勢集っては一言一句まで完璧な原稿が作られるのよ。それでも問題発言で誤爆するのが政治家レベルなのよね。
総理や大臣の原稿を読むだけな所感についての会話となります。
所感の類義語
「所感」の類義語には「所見」「見解」「所存」「思い」「思念」「気持ち」「感懐」「心懐」「胸中」「心中」などの言葉が挙げられます。
所感の対義語
「所感」の対義語はありません。補足として「感情的」の対義語は「理性的」「論理的」「思考的」などになります。
所感まとめ
自分の思いである「感想」の丁寧な表現が「所感」です。心に思っている事は「感想」や「所感」など多々ありますが、自分の思いに加えて報告書などでも使われ、また政治家の会見での語りやビジネス現場など大人社会ならではの万能的な言葉に「所感」はなっています。