手を拱く(てをこまぬく/てをこまねく)
「手を拱く」とは「腕組み状態からの『傍観』や『何もしない非協力な姿勢』」です。世の中が便利になるほど助け合いの文化は廃れるので、そこに日本人らしい他人に関与しない態度も合わさると傍観する姿勢でいる方がトラブルを避けられる気がしますよね。面倒事に巻き込まれるのは御免なので、自分を守る意味でも「手を拱く」となりますが、あまり人間らしい態度とも言えないのも事実です。
手を拱くの意味とは
「手を拱く」の意味は以下の通りとなります。
(1)腕組みをする。手をつかねる。
(2)腕組み状態から、何もしないで傍観している。手出しをしない。見ているだけ。
(3)古代中国の挨拶で、両手の指を胸の前で組み合わせた敬礼。
”拱く”は本来は「こまぬく」と読み「腕組み」「傍観」の事ですが、その「こまぬく」は言い辛いので時間経過によって音変化した「こまねく」とも現代では読まれます。その「手を拱く」は元々は古代中国から行われてきた伝統的な挨拶の方式で、両手の指を胸の前で組んだ敬礼となります。これは中国の伝統衣装を着た人がよくやるので有名ですが、政治家などが各国要人と会う席でもパフォーマンス的に披露するので知っている人も多いでしょう。そして日本の場合は腕組み状態を表し、そこから「傍観」という意味になり、さらに「何もしないで見ている状態」や「何も手出しをしない」のを「手を拱く」とします。よって、本来は古代中国の挨拶や腕組みでの「傍観」なのですが、現代においてはネガティブな「何もしない傍観」という意味合いが強くなって、もう手出しができない諦めから「手を拱く」とします。一方、若い世代などは誤用である「待ち構えている」のを「手を拱く」とする傾向が高く、「傍観」で見ているだけの状態を「次に備えた準備」と良い姿勢で解釈をしています。
手を拱くの由来
「手を拱く」の由来は前述したように古代中国の両手を合わせた敬礼となる挨拶で、それが日本では腕組みでも呼ばれるようになりました。また文献としては江戸時代のポルトガル語辞書「日葡辞書」などに文言が記されています。
手を拱くの文章・例文
例文1.家事を全くしなかった妻が遂に家を出て行く後ろ姿を手を拱いて見送り、これまでの2人の思いに耽っていたが3分もしないで気分が晴れやかになり、まずは近所のユニクロへ服を買いに行ってその帰りにコンビニで酒と弁当を買って晴れて独身に戻れた喜びから祝杯をあげた。
例文2.台風の中愛車の軽トラを走らせていたら田んぼのあぜ道に脱輪してしまい、自力では脱出が不可能でJAFが来るまで手を拱いて見守るしかなかった。
例文3.政府は増税には積極的という印象がついてしまい、それを打破しようと減税の策を出しても本心は手を拱くだけで何もしたくないのが見え見えだ。
例文4.運動も勉強も大嫌いなので無気力に手を拱いていたら、大人になっても何の取り柄がないニートになってしまったがネット上には仲間が多いので平気だ。
例文5.政治家や官僚は確かに優秀だが自分の事しか考えないズル賢さだけで、金を稼ぐのは踊りだけが上手い自己顕示欲の塊な役者希望のアイドルか恥知らずなYouTuberに腕力自慢な反グレだけなのだから、それなら手を拱くだけで一生日陰な貧困者でいる方がプライドを保ち人間らしくいられる。
「手を拱く」を使った例文となります。
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手を拱くの会話例
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これだけ町中に防犯カメラがあっても、犯人を逮捕できないのは…。
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気持ちも分かるけど、警察だって手を拱いている訳ではないでしょう?
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そうだけど、こっちとしては腹立たしいじゃん。300万もした俺の名車が盗まれたんだよ。
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大丈夫だって。中古でも警察はちゃんと捜査するから。とにかく今は待ちましょう。
愛車の盗難被害に遭った夫婦の会話内容です。
手を拱くの類義語
「手を拱く」の類義語には「静観」「高みの見物」「野次馬」「対岸の火事視」「様子見」「黙視」「第三者」「傍観者」などの言葉が挙げられます。
手を拱くの対義語
「手を拱く」の対義語には「当たって砕ける」「介入」「直面」「干渉」「介在」「仲介」などの言葉が挙げられます。
手を拱くまとめ
腕組みの姿から傍観して何もしないのが「手を拱く」です。敢えて何もしないのか、それともする気がないのかはさて置き、自分から手出しをしないので非協力的として「手を拱く」になります。腕組みをしている姿も考え事とも見て取れる一方で何もしない表れにもなり、傍観の別表現として広く浸透しています。