投影(とうえい)
「投影」とは「物の影が映る現象」や「顕著に影響が出る事」や「心理学で否定感情を相手の所為にする防御反応」です。一見すると簡単にも思える「投影」ですが、心理学用語と知ると途端にハードルが高く感じてしまいますよね。しかし、それは飽くまでも「投影」が持つ一部分であり、他にも様々な意味があるのでその解説をさせて頂きます。
投影の意味とは
「投影」の意味は以下の通りとなります。
(1)地上や水面に物の影が映る現象。
(2)影が映る事から転じて、ある物の存在や影響を受けて具現化した事の比喩表現。
(3)数学で物に平行光線を当て影を平面上に映す事。
(4)心理学で嫉妬心や不安感情や怒りなどの内面が考えや行動に影響を与えて左右される事。
「投影」は文字通りに「影を投げる」として、心理学的には「己の影(感情)を相手に写す」となります。これは簡単に言えば、自分の思っている感情と同じ事を相手も思っていると錯覚するもので、特にネガティブな否定的感情である嫉妬や不安や怒りといったものは他人もそう思っているとすると、自分のネガティブ感情が軽減されるそうです。最初に自分がその相手を嫌いだと思っているのに、段々とその相手が自分を嫌っているとなり、だから自分も相手を嫌うとなるのです。だから、本来は自分が最初に嫌っていたのに、その悪い感情を相手に「投影」して自然に自分自身を守る術で、心理学的には否定的感情の取り除きとなります。「自分の問題を相手の所為にする事」で多少の違いはその人によって多々ありますが、嫉妬や不安や怒りなども基本は同じようになります。この「投影」は自分を守る術としてある意味で優れていますが、当然ながら良好な人間関係を築く上では邪魔になるだけなく自分の勝手な思い込みを相手に押し付けているので、客観的で正しい感情が身につかなくなる恐れがあります。この心理学的な「投影」以外にも物の影が映ったり、その人から影響を受ける例えに影を平面上に映すといった意味もあります。
投影の由来
心理学としての「投影」を世界で初めて提唱したのは19世紀末から20世紀初頭にかけて精神分析学の創始者とされるオーストリアの心理学者・ジークムント・フロイトです。それ以外の「投影」については詳細は不明ですが、文献としては近代日本の詩人・岩野泡鳴の著書「断橋」などに文言が記されています。
投影の文章・例文
例文1.私の人生は子供の頃からずっとろくな事がなく、いつしか気が付いたら悪意を他人へ投影する事でなんとかバランスを保つようになった。
例文2.ネット世界は投影をしている自覚がない者とそれを楽しんでいる者しか居られない罵詈雑言だらけな、とても奇妙な空間である。
例文3.日本人がここまで卑屈で部屋に閉じこもりアニメ大好きな性格になったのも、恐らくは偉大なる先人達の無残な死に姿を何度も脳裏に叩き込まれた挙句の防御反応がきっと投影されたからだろう。
例文4.スマホ画面が小さいと嘆くそこのあなたに向けて、スマホ画面をテレビに投影させて楽しむ事ができるアプリを紹介します。
例文5.心理学の投影を知るほど、私は自分よりも弱い相手にしか敵意を向けられない最低の屑なんだと自覚した。
「投影」を使った例文となります。
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投影の会話例
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俺の性格はどうしてこんなにも捻じ曲がってしまったのか…。
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反省できるだけいいじゃない。普通の人は自分の性格が悪いなんて気付かないものよ。
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それは親の性格が悪かったから、自然とその性格が投影されたって物心がつく頃には察するものだよ。ん、俺はまた人の所為にしている…。
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そう落ち込まないでよ。本当にパチンコで負けただけでそんなに憂鬱なら、もうやらないでよネガティブキャンブラーさん。
性格が暗くネガティブ感情に覆われる男性とその知人女性の会話です。
投影の類義語
「投影」の類義語には「投射」「映写」「プロジェクション」「射影」「同一視」「上映」「投光」などの言葉が挙げられます。
投影の対義語
「投影」の対義語には「反射」「反映」「実体」「実物」「リフレクション」などの言葉が挙げられます。
投影まとめ
心理学用語として知られる「投影」ですが、他にも様々な意味があり文字通りに物の影が映る現象や他からの影響を受ける事などでも「投影」となります。ですから前後の文脈などからどのような意味なのか判断をする必要がありますが、それだけにやや難しい言葉なので日常生活で多用される事はなく、文語として精神分析の心理学で用いられる専門用語といった側面が大きいようです。