折衝(せっしょう)
「折衝」とは「鉾での攻撃を防ぐ事から、利害関係が異なる難しい相手との駆け引きをする事」です。社会人になると何かと「交渉」という言葉を見聞きしますよね。「営業は交渉力が大事」や「交渉の手法を学ぶ」等々ですが、一方では同義の「折衝」となる場合もあります。今回は「交渉」よりも緊張感が伴う「折衝」についての解説をさせて頂きます。
折衝の意味とは
「折衝」の意味は以下の通りとなります。
(1)敵が衝突してくるのをくじき止める。敵の鉾先をくじく。
(2)敵の攻撃をくじき防ぐ事から転じて、利害関係が一致しない相手と問題解決する為の駆け引きや交渉事。
「折衝」は敵兵の鉾を衝いた攻撃から防ぐや矛先そのものをくじくという意味もありますが、それが転じて利害が一致しない相手や団体との妥協点を探る交渉事として現代では使われるのが一般的です。よって、ビジネス現場だけでなく外交や政治世界でも使われる専門用語となっています。もちろんニュースなどでは同様の事を「話し合い」とする場合もありますが、そもそもの前提として仲が良くないやまだ信頼関係を築くに至っていない双方が妥協点を模索するように「駆け引きも含めた交渉事」が「折衝」なのです。要は敵として鉾を出すような相手へ武力を止めさせ交渉に入るのですから、なかなか簡単には解決せずまとまらないとも読み取れます。そんな「折衝」は「折衝中」「折衝開始」「折衝中断」「事務折衝」などの使われ方がされ、「難しい相手との交渉」という意味が最も近いようです。
折衝の由来
「折衝」の由来として古代中国・春秋時代の言行録「晏子春秋」から誕生した言葉とされ、日本の文献では江戸時代前期の国語辞典「古活字本毛詩抄」などに文言が記されています。
折衝の文章・例文
例文1.財務省との折衝が大詰めを迎えているが、伏魔殿によって最後は頓挫するのが捨てきれず油断すると全てが台無しになる恐れがある。
例文2.お客との折衝が仕事となって早10年となり、ストレスで胃には穴があき体重も20キロは少なくなって頭髪は抜け落ち、それでもこの仕事が大好きで生き甲斐だと感じる根っからのマゾ体質である。
例文3.これまで折衝を何度も何度も繰り返しては進展しなかったものが、最終的には政界の大物が登場してあっけなく終わるのがこの国のやり方だ。
例文4.アメリカ企業の血も涙もない折衝術を肌身で感じると、日本企業のやり方は温情だらけで涙が出てくるだろう。
例文5.今日も取引先を回って折衝をしてくるが、きっと1件も契約をまとめる事は無理だろう。
「折衝」を使った例文となります。
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折衝の会話例
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今頃…、部長は上手くいっているかな?
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うーん。相手の社長さんて一代で築いた相当なやり手って話でしょう。うちの人柄だけが武器の部長とは水と油で、折衝をいくら重ねても結果は…。
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そうだよなー。やっぱりここは俺が出て折衝するべきだったかー。
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あははは。○○さんだったら、始まって10分もしないで追い出されるわよ。
上司が行っている重要な取引先との交渉の行方を気にする職場の部下たちという内容です。
折衝の類義語
「折衝」の類義語には「ネゴシエーション(negotiation)」「談判」「渉外」「外交」「掛け合う」「直談」「相談」「落とし所を探す」などの言葉が挙げられます。
折衝の対義語
「折衝」の対義語には「実力行使」「戦争」「暴力」などの言葉が挙げられます。
折衝まとめ
問題解決で相手側と駆け引きをする行為が「折衝」です。「交渉」もほぼ同義ですがある程度の関係が築かれている場合に使う事が多く、対する「折衝」はこれから利害関係の一致を目指すので難しい相手に用いる表現となり、国家や企業でも問題山積みで妥協を模索して使います。