故郷に錦を飾る(こきょうににしきをかざる)
生まれ育ったふるさとから離れて別の土地で就職する人は多いと思いますが、ふるさとに戻り、立派になった自分の姿を見せてあげたいという人も少なくないのではないでしょうか。地元への愛が強ければ強いほど、地元に帰った時に成功している姿を見せたいとおもうはずです。それを指した「故郷に錦を飾る」という言葉があるので、詳しく説明していきたいと思います。
故郷に錦を飾るの意味とは
「故郷に錦を飾る」とは、立派な仕事を成し遂げ名声を得て故郷へと帰ることを言います。「錦」は金糸や銀糸などで華やかに織り込まれた絹織物のことを指しています。成功した者が豪華な衣服を着て故郷へ帰るという意味からこの言葉が生まれました。
故郷に錦を飾るの由来
「故郷に錦を飾る」の由来は、『南史』の劉之遴伝にある、「卿をして錦を衣(き)て郷に還り、栄養の理を尽くさしめん」とあることに基づいています。中国南朝梁の劉之遴は優れた才能を持っていました。武帝は彼に、あなたの母親の年齢と徳はともに高いと言います。さらに武帝は、劉之遴に錦を着て故郷へと還らせて、母親に美しい服や食事をすすめて大事にしなさいと言い錦を与えたのでした。
故郷に錦を飾るの文章・例文
例文1.オリンピックで金メダルを獲得した彼はふるさとを凱旋し、故郷に錦を飾った。
例文2.彼は大企業に就職して、故郷に錦を飾ることを目標にしている。
例文3.彼女は長いこと生まれ故郷から離れていたが、ようやく故郷に錦を飾ることが叶った。
例文4.故郷に錦を飾るために、彼は一度故郷を離れて別の土地で就職することを決めた。
例文5.私の実家はとても辺鄙なところで、いつか成功して故郷に錦を飾りたいと思っている。
生まれ育った土地には当然、思い入れが強くなります。進学や就職で一度故郷を離れると、地元がより一層恋しくなるのではないでしょうか。そうなると故郷に錦を飾りたいという気持ちが生まれるのも自然なことであると思います。
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故郷に錦を飾るの会話例
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君っていつも熱心に勉強しているけれど、何か目標があるの?
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ええ。大企業に就職して、立派になって地元に戻りたいなって思っているの。
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なるほど、故郷に錦を飾りたいってことだね。
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ええ。私を育ててくれたふるさとに、立派になって戻ることで恩返しができたらなって。
ふるさとに愛着を持っていても、生まれ故郷で就職できる人ばかりではないでしょう。でも、故郷以外の土地で就職して働き成功して、立派になって帰ることもふるさとへの十分な恩返しなのではないでしょうか。
故郷に錦を飾るの類義語
「故郷に錦を飾る」の類義語としては、「故郷に錦を着て帰る」「錦を着て昼行く」「衣錦の栄」「衣錦還郷」などがあります。いずれも、成功したことで得られたシンボルとして「錦」という言葉が共通しているということがわかります。「繍を着て昼行く」という類義語では「錦」ではなく「繍」という言葉が使われていますが、「繍」にも「にしき」という意味があるので、指しているものは一緒であるといえます。
故郷に錦を飾るまとめ
ふるさとに愛着を持っている人が、立派になって故郷に還り恩返しがしたいと思う気持ちは今も昔も変わらないのではないかと思います。人によって「錦」が何を指すのかは違うかと思いますが、その大小や種類に貴賤はないのではないか、と思います。