日和る(ひよる)
「日和る」とは「優勢な立場になびく、傍観する、恐怖や怖がる事」です。最近は漫画「東京リベンジャーズ」の大ブームから注目を集めているのが「日和る」で、元々は天気や空模様を観察する際に使われていたのですが、今では若者言葉として再び脚光を浴びています。それでは、「日和る」がどのような意味や使われ方をするのか調べてみました。
日和るの意味とは
「日和る」の意味は以下の通りとなります。
(1)「日和」(ひより)が動詞になり、状況が有利な方についたりや形勢を窺う事。
(2)積極的に関わらないで傍観する事。
(3)若者言葉として、恐怖・怖気付く・びくつくなど。
「日和る」は名詞である「日和」が動詞に変化した形で、有利な立場である方につくといった自分の考えや思いからの行動ではなく、周囲の状況から物事を判断する事です。云わば、その場の雰囲気を察して勝ち馬に乗るや強い相手に従う事です。当人はそれが賢い判断としますが、周囲からすると面白くない相手とも見て取られます。それまではどっちつかずのような態度をしてきて、急に有利な立場に付いたのなら、嫌な奴どころか信用できないや裏切者といった扱いになる恐れもあります。そんな虫がいい者を見下すように「あいつはいつも日和る」「日和ってばかり」という風にもなります。また、逆の使い方としてそんなどっちつかずや迷っていたり、怖がっている者に対してリーダー的な中心人物が気合を入れるように「日和るな」「日和るのはやめろ」といった使い方もあります。これは若者言葉という側面が大きい使い方で、1960年代や70年代の頃は割と使われその後は廃れていたのですが、最近になって漫画「東京リベンジャーズ」の影響もあって、再び人気言葉となりつつあります。作中では、暴走族の総長・マイキーこと佐野万次郎が、敵対グループとの乱闘前に仲間に気合を入れるように「ひよってるやついる?」と発したところ、若者を中心に大ヒットしSNSではセリフシーン画像で溢れ、またそんなシーンを真似する者も増えて遂には「JC・JK流行語大賞2021上半期」で3位にランクインするほどになりました。
日和るの由来
「日和る」の由来は天気を見る事で、江戸時代が始まりとされています。この時代は現在の天気予報などはないので、その日一日の天気が漁業や農業などの仕事に大きな影響を与える事になります。ですから空模様からその後の天気を予想するのは大変重要で、そこから天気を見るのを「日和見」(ひよりみ)と呼ぶようになりました。その後は小高い丘から方角石で雲の動き等をを観察する本格的なものになり、さらに1960年代になると学生運動に参加しない者などを「日和見主義」と呼び、現在に至ります。
日和るの文章・例文
例文1.「日和るのはやめろ!」と親父から何度も注意されたが、どうしても周囲の顔色を窺う性格になってしまい、大人になってもまったく直らない。
例文2.日和ってばかりの情けない方が実は人生が上手くいくものだ。
例文3.電車で隣に怖そうな男が座るだけで日和り気味になってしまう。
例文4.職場で同僚同士が揉めていたので、取りあえずは巻き込まれないように日和る事にした。
例文5.弟はヤンキー漫画の影響なのか、日和るやビビるにやけに敏感でどんな事でも強気になるが、その割にはゴキブリ一匹で大騒ぎだ。
恐怖や傍観者といった意味合いで「日和る」を使った例文です。
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日和るの会話例
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た…、た…、ただいまー。ハー、怖かったー。
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どうしたの? そんなに汗だくになって?
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実は…帰り道、誰かにずっと後をつけられていて。それで途中から走ってきたから、もう息切れだよ。
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それって、偶々帰る方向が一緒なだけじゃないの? 相変わらず日和るわねー、あなたは。
小心者の夫に呆れる妻という内容です。
日和るの類義語
「日和る」の類義語には、「身の毛がよだつ」「震える」「青ざめる」「戦慄」「小心翼々」「脇目」「高みで見物」「指を銜える」「見てみぬ振り」「看過」などの言葉が挙げられます。
日和るの対義語
「日和る」の対義語には、「安堵」「平安」「平穏」「介入」「関与」「干渉」などの言葉が挙げられます。
日和るまとめ
「日和る」は「日和」が変化した形で、状況や立場が良い方につくや傍観する事です。自分の明確な考えや立場はなく、状況に応じて態度を変えるのが周囲からすると情けないとも思われてしまいます。体制側や人気ある方や優勢な方に付くので、ある意味で最も無難な選択をするとも言えます。また、最近は若者言葉として恐怖やビビッているともなります。