昔取った杵柄(むかしとったきねづか)
諺の中には、誰もが理解している言葉と、あまり使われなく意味も難しい言葉があります。「昔取った杵柄」は確実に前者で、非常に意味が分かり易くまた日常生活でも使う場面に多く遭遇するのが特徴となります。大人なら知らない人がいないと思いますが、より詳しい解説をさせていただきますので、使用する際の参考になれば幸いです。
昔取った杵柄の意味とは
「昔取った杵柄」は、高齢者など年輩の人が、若い時に身に付けた腕前や技術・技能を披露する際に用いられる言葉です。体は老いても、昔習った事は覚えている、若い者には負けない、まだまだ現役と鼓舞する際にも使われます。高齢者本人が使う際には、謙遜や謙虚的などちらかと言うと良い意味で使う場合が多いです。しかし、若い人が職場などの年輩者に使う場合は、疎ましい感情の表れとして、揶揄や軽蔑するような意味となる場合もあります。また、そのように誤解をされる恐れもあります。
昔取った杵柄の由来
諸説ありますが、中国の「劉備がわらじを売る」という有名な言葉が、語源ではないかと有力視されています。皇帝となった劉備は、子供の頃は貧しくてわらじを売って生計を立てていた。これが「昔取った杵柄」の原形とされ、今では「若い時に会得した技術」的な意味で使われています。
因みに、「杵柄」は餅つきの際に握る棒状部分なので、日本では当初、「若い頃の餅つきの腕前は老いても体が覚えている」という意味で使われていました。
昔取った杵柄の文章・例文
例文1.達筆と褒められるのは、子供の頃から習字を習っていただけで、昔取った杵柄という唯一の取柄だ!
例文2.柔道部だったので、昔取った杵柄で今でも腕力は人一倍ある!
例文3.昔取った杵柄で、暗算だけは早い!
例文4.昔取った杵柄と言いたいが、実は最近習った事をひけらかしただけだ。
例文5.和室には数々の賞状が並び、孫に昔取った杵柄と自慢をするのが楽しみだ。
今回は本人が謙遜するような形の例文となりましたが、陰口や否定する際にも使われる事も多いので、そこを理解しましょう。
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昔取った杵柄の会話例
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お母さんは英語得意だよね。どうしてなの?
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実は若い時に、アナウンサーや客室乗務員を目指していたから。その時に英語だけは必死に勉強していたの!
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それが今でも覚えて、使えるなんて凄いよ!
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何言っているの。単なる、昔取った杵柄よ! あなたこそ、頑張って勉強をしなさい!
母と娘の日常的な会話となります。母の英語力に驚いた娘が、疑問を投げかけ、それに答える様子です。
昔取った杵柄の類義語
「昔取った杵柄」の類義語には、「昔の勘を取り戻す」「雀百まで踊り忘れず」などの言葉が挙げられます。
昔取った杵柄まとめ
老いた人でも、若い時に習った事は今でも十分に役立ち能力が高い場合を「昔取った杵柄」と言います。自らが謙遜して言う場合、また目下の者が言う場合など、立場によって意味が多少変わり誤解を与える可能性もあるので、注意が必要です。年下なら親しい関係が成立するまでは、不用意に発しない方が無難です。