昵懇(じっこん)
昵懇。読んでも聞いても、100人中100人が「え、なんて読むの?」「え、なんて言ったの?」と思う言葉ですよね。インターネットで調べようとしても、打ち込むのすら苦労するでしょう。
この記事では、読めない上に書けない熟語「昵懇」について読み方や意味を見ていきます。
昵懇の意味とは
昵懇の意味を知る前に、読み方を知りましょう。これは「じっこん」と読みます。意味は「親しい間柄」。親友、幼馴染、というような意味で使うことのできる、非常に固い昔ながらの言葉です。
「昵」(じつ)は、一文字で「ちかづく、なじむ、慣れる」などの意味を表します。「懇」は「ねんごろ」という意味。この2つの感じが合わさって「昵懇」となります。気の置けない仲として会話している様子がうかがえますね。
カジュアルな会話で使用することはほぼ皆無でしょうが、フォーマルな雰囲気でならば使うことができます。仲の良さを美しい日本語で表現したいときに「昵懇」と言うと効果的です。
昵懇の由来
さて、昵懇という感じの成り立ちを見てみましょう。
「昵」は一見「泥」に見えるので「ちかづく」という意味が想像しがたいですね。
しかし「昵」をさらに分解してみると、「日」と「尼」から構成されています。「日」はもちろん「一日、日々」という意味があります。「尼」は出家した女性のことですが、「人に近づき並ぶ」というという意味を表します。「昵」は実は「尼」からできた言葉であり、その意味を受け継いで「ちかづく」という意味になったのです。
昵懇の文章・例文
例文1.私と彼は昵懇の間柄です
例文2.昵懇のお付き合いをさせていただく
例文3.私たちは昵懇の仲だ
例文4.君と彼は昵懇の学生時代関係だったではないか
例文5.あの二人の昵懇の間柄には入り込むことはできない
上記のような使い方ができます。「親友」と言えばわかりやすいですが、「昵懇」と言うと親しさがじんわりとにじむような感じがして、美しい表現になりますね。
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昵懇の会話例
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つい先日、君が旅行をしている最中、友人と久々に飲みに行ったよ。気が付いたら夜明けになっていてね。いやあ、楽しかった。
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あら、良かったわね。あなたたち、昵懇の仲だものね。
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ああいうことは久しぶりだったからね。話が弾んでしまった。
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積もる話もあったことでしょう。
上記は壮年の夫婦の会話です。親しい仲の友人とは、いくら時間を過ごしても足りませんね。
昵懇の類義語
昵懇の類義語です。フォーマルな類義語に「誼」(よしみ)があります。「厚誼、交誼、好誼」(すべてこうぎと読む)など、親しい間柄を示す言葉として昵懇に近い意味があります。「昵懇」というと個人的な関係に使うことが多いですが、好誼はビジネスの関係でも「ご好誼のほど」という言い方ができます。
昵懇まとめ
昵懇という言葉の読み方や成り立ちについて見てきました。若い人はなかなか言わない言葉ではありますが、特定の友人と長い付き合いになってきたら、将来使うことがあるかもしれませんね。