晦渋(かいじゅう)
「晦渋」とは「言葉や文章が難しく正確な意味などが掴めない際の表現」です。日本語というのはまるでアマゾンのジャングルのようで、簡単な言葉が多い一方で現代は殆ど使われていない古語的な言葉も文学作品では普通に使用されていたりします。それだけ自由な表現が認められていますが、ある程度の知識がないと有名作品などを読み解くのは困難であり、そんな気持ちを代弁しているのが「晦渋」ではないでしょうか。
晦渋の意味とは
「晦渋」の意味は以下の通りとなります。
(1)言葉や文章が難しくて意味が分かり難い事。難解。
(2)古語的表現や一部の文語など、難解で理解出来ない文章の事。
”晦”は「陰暦の月の末日」「月が出ない」「よく分からない」、”渋”は「しぶる」「滞る」「苦々しい」で、文字通り取れば「本当に難しい」や「不愉快なほどに分からない」のが「晦渋」です。そこから難しい言葉や文章について「晦渋」として、例えば「晦渋な表現」「晦渋な作品」といった風に使います。この場合は「難しい表現」や「難解な作品」となるので、要するに「晦渋」とする事で言葉や文章に難解なものが多かったので理解出来なかったと察すれます。単純に「難解」とすると一体何が難しいのか分からないので、相手への補足をする表現としても「晦渋」とした方が親切になります。
晦渋の由来
「晦渋」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては明治時代の哲学用語集「哲学字彙」などに文言が記されています。
晦渋の文章・例文
例文1.作家気取りで調子に乗って、神保町の古書街で堅苦しそうな文学作品を数冊購入したがあまりにも晦渋で己の無知さに涙が出てきた。
例文2.中東の言語は晦渋すぎて、それこそ草生える。
例文3.国民を見下す政治家ほど歴史には興味があるのか晦渋な表現を好んで使うが、かといって弁護士が政治家になって中身が無い事を速射砲のように捲し立て誤魔化すのも気に入らない。
例文4.自分には芥川賞作品はどれも晦渋で、直木賞作品の方が合っている。
例文5.担任の国語教師はクラスで馬鹿をやる男子生徒を見下し敢えて晦渋な言葉を使って悦に浸るタイプだったが、当の本人が数年後に痴漢で捕まるのだから頭でっかちは困ったものだ。
「晦渋」を使った例文となります。
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晦渋の会話例
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正月は暇だったから、ドキュメンタリー番組をいくつか観ていたけど…。
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どんな内容の?
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政治や経済や宗教だけど、もう俺の頭ではついていけないよ。ナレーションまで晦渋だから最初はスマホで調べたりしたけど、やっぱ無理だな。
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私みたいに大人しくお酒を飲みながらバラエティを観ているのが一番よ。
正月休みに観ていたテレビ番組の感想についての会話となります。
晦渋の類義語
「晦渋」の類義語には「難解」「茫茫たる」「困難」「曖昧」「曖昧模糊」「茫然たる」などの言葉が挙げられます。
晦渋の対義語
「晦渋」の対義語には「平易」「容易」「簡単」「明解」「明晰」「端的」「明瞭」「クリア」などの言葉が挙げられます。
晦渋まとめ
言葉や文章などがあまりにも難解で理解出来ないのが「晦渋」です。「晦渋」自体がかなり難しい言葉ではありますが、例えば歴史文学などには古語的表現が多く現代人が読み解いていくのはハードルが高い事からそのような場合には「難解」や「難しい」とするより、「晦渋」とした方が全体の雰囲気に合っている感があります。