暑さ忘れて陰忘る(あつさわすれてかげわする)
「暑さ忘れて陰忘る」とは「暑い時に重宝する日陰も涼しくなると有難味が薄れる事から、困難が過ぎれると恩を返さないや忘れる喩え」です。誰しも困っている時は頭を下げて願いを乞うくせに、状況が一変して助かるともうそんな事は忘れて、まるで何もなかったように振る舞うのです。もちろん中にはいつまでも感謝を忘れない人もいますが、それは極少数ではないでしょうか。ある意味で人の嫌な部分が露呈するのが「暑さ忘れて陰忘る」です。
この記事の目次
暑さ忘れて陰忘るの意味とは
「暑さ忘れて陰忘る」の意味は以下の通りとなります。
(1)夏の暑い時は物陰で涼める日陰を有り難るのに、涼しくなると日陰の有り難さを忘れる事。
(2)夏が過ぎると日陰を有り難らない事から、楽になると苦しい時の恩をすぐに忘れる喩え。
「暑さ忘れて陰忘る」は要するに「人とは困難が過ぎれば簡単に恩義を忘れてしまう」という事です。夏の暑い時は物陰や木陰を探しては涼んでいたのに、夏が過ぎてしまえば物陰などを見ても何とも思わなくなります。それが転じて、苦しい時は助けてもらいたい一心から煽てたり媚を売るのに、苦しさが過ぎてしまえばあっという間に恩義を忘れるという喩えです。また、喩えだけではなく、そんな酷い事をしないという戒めとしても使われる諺でもあります。
暑さ忘れて陰忘るの由来
「暑さ忘れて陰忘る」の由来は残念ながら不明です。同じ意味であり有名な方ともなる「喉元過ぎれば熱さを忘れる」は三味線による人形芝居「浄瑠璃」の「源氏冷泉節」(1710年頃)に文言が記されているので、「暑さ忘れて陰忘る」も同じ頃か以降だと推測できます。
暑さ忘れて陰忘るの文章・例文
例文1.親友が金をせびる態度はいつも暑さ忘れて陰忘るだが、それでも怒らずに許してしまう俺もどこかの感覚が麻痺している。
例文2.政治家とは選挙前は頭を下げては有権者に握手を求め媚びるが、当選すれば平気で公約を破り国会では嘘を吐きまくり、仕舞いにはカルトの為に汗水を流して働くのだから暑さ忘れて陰忘ると批判する気も失せる悪童だ。
例文3.男も女も「もう恋愛は懲り懲り」と酒を飲んで語りたがる奴ほど、暑さ忘れて陰忘るじゃないがチャンスがあればすぐ恋愛に走る。
例文4.二度と刑務所に戻らないと更生心から、暑さ忘れて陰忘るとならないように背中と腕に気合のタトゥーを入れた半年後、海で同じタトゥーを入れた輩に絡まれ大喧嘩となり傷害で再び逮捕されてしまった。
例文5.西側諸国からあれだけ支援されながらもロシアは戦争をしかけ、北朝鮮はバカスカとミサイル発射する現状を見ると、暑さ忘れて陰忘るとは実に的を得ていて馬鹿な大将につける薬はない。
「暑さ忘れて陰忘る」を使った例文となります。
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暑さ忘れて陰忘るの会話例
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今日の残業、代わりにお願い出来るかな?
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今日ですか? それは無理ですよ。突然言われても困ります。
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そうだけど…、先週も先々週も俺が代わりにやったから、今度は逆にやってくれてもよくない?
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課長、男のくせにセコイ事を言わないで下さいよ。あっ、今、こいつは暑さ忘れて陰忘るタイプって思ったでしょう。違います、私は自分に正直なだけですから。
職場での残業を拒否する女性社員という内容です。
暑さ忘れて陰忘るの類義語
「暑さ忘れて陰忘る」の類義語には、「喉元と過ぎれば熱さを忘れる」「雨晴れて笠を忘る」「魚を得て筌を忘る」などの言葉が挙げられます。
暑さ忘れて陰忘るの対義語
「暑さ忘れて陰忘る」の対義語には、「羹に懲りて膾を吹く」「蛇に噛まれて朽縄に怖じる」「船に懲りて輿を忌む」「黒犬に噛まれ赤犬を恐れる」などの言葉が挙げられます。
暑さ忘れて陰忘るまとめ
「暑さ忘れて陰忘る」はあれだけ有難味を感じた事でも困難が消えると自然と忘れてしまう事です。ですから、そんな調子が良い性格な相手への嫌味として使ったり、或いは自分自身が恩を忘れるような不届き者にはならないようにと戒めにもなります。