有事のドル買い(ゆうじのどるがい)
「有事のドル買い」とは、”ドル”という名称が付いているだけに金融・証券用語の中でも為替用語に該当します。世界的な不況、戦争、テロなどが起こった時には安全資産である”米ドル”をひとます購入すれば安心という意味合いで、今でも頻繁に使われる言葉です。では、より詳しい解説となります。
有事のドル買いの意味とは
「有事のドル買い」の意味は以下の通りとなります。
(1)有事とは戦争や大規模テロで、為替相場にまで影響を与えるほど衝撃的な事が起こると、世界の基軸通貨として安全資産である米ドルが一斉に買われる現象。
(2)米ドルは世界一の流通量を誇る通貨なので、安全資産という扱いもされている。為替相場でドルが買われるだけでなく、紙幣や通貨として直接ドルが買われたり、ドル的な扱いがされる株券なども含めて「有事のドル買い」と呼ばれる場合もある。
投資や経済用語の「有事のドル買い」ですが、どちらかと言うなら格言的な扱いと今ではなっています。”有事”とは戦争や大規模なテロを指し、このような緊急事態になると安全資産である米ドルを人々や機関投資家などは求めて、買いが殺到すると言い得ています。しかし、実際にはドルに対してそこまで求められる事はなく、過去のケースから見てもその時々次第となるのが実情です。ですから、時には”ドル買い”となるが、別の時には”ドル売り”もあるので、一概に「有事のドル買い」とは言えません。それよりは「有事の金買い」の方が的を得ています。ドルが買われると、円が売られるので”円安”という状況になりますが、近年はあまり、有事だからドル買いで円安になったという報道はありません。また、ドル以外にも円やユーロやスイスフランも安全資産とされますが、何よりも”金”に対して使うのが相応しく、実際に価格も上がる傾向がとても強いです。
有事のドル買いの由来
過去の歴史から「有事のドル買い」となったのは、1990年のクウェート侵攻、2006年のレバノン侵攻です。逆に「有事のドル売り」となったのは、1985年のプラザ合意、1989年の天安門事件、2001年のアメリカ同時多発テロ事件、2008年のリーマンショックなどです。因みに”ドル”の由来は、ドイツでかつて使われていた通貨「タラ―」とされている。
有事のドル買いの文章・例文
例文1.米中があれだけ貿易で揉めても有事のドル買いが無かったので、今後も暫くは無いと思われる。
例文2.有事のドル買いを狙った投資は、的外れで失敗となるケースが多い。
例文3.近年は有事のドル買いより、有事のドル売りの方が当たる可能性が高い。
例文4.有事のドル買いとは円安ドル高になる事で、有事のドル売りとは円高ドル安になる事である。
例文5.有事のドル買いとなるのは、過去の歴史的事例から中東などアメリカから離れた異国の場合で起こるようだ。
「有事のドル買い」となる状況、投資法などについての文章です。
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有事のドル買いの会話例
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投資の格言を調べていると、有事のドル買い、有事の金買い。この二つはかなり有名ですよね。
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有名だね。その代わり、あまり実際にそうなる状況も少ないけどね。
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やっぱりそうなんですか?
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それはそうだよ。有事って、戦争という意味だからね。それも他国まで政治や経済的にも影響を与えるのは、相当な規模でないとね。だから、有事のドル買いを狙った投資法を考えているなら、10~20年に一度のペースなので、人生を終える覚悟の投資になるね。
「有事のドル買い」について、そんなケースは滅多にないという会話をしています。
有事のドル買いの類義語
「有事のドル買い」の類義語には、「有事の金買い」「有事のドル売り」などの言葉が挙げられます。
有事のドル買いまとめ
「有事のドル買い」とは、戦争や大規模テロなどの有事になると、安全資産であり基軸通貨のドルが買われて円は売られる”円安ドル高”になる事です。しかし、実際には必ずしもそうなる訳ではなく、過去の状況を振り返ってもドル買い・ドル売りとなるのは、その時々の状況次第となります。また、ドル以外の安全資産である円・ユーロ・スイスフラン・金などが買われる事もあるので、注目をする必要があります。