東風(あゆ、こち、こちかぜ、とうふう、とんぷう、はるかぜ、ひがしかぜ)
これだけ読み方が多様な「東風」という言葉も、大変珍しいものです。一般的には、こち・とうふう辺りが多い読み方ですが、時と場合によっては、ひがしかぜ・とんぷう(とんぷー)となります。これらは前後の文脈などから判断して読み方を変えるものです。では、そんな謎多き言葉でもある「東風」の解説となります。
東風の意味とは
「東風」の意味は以下の通りとなります。
(1)こち…春から夏に吹く、東寄りの風。又は人名。
(2)あゆ…東の風(別名は鮎の風)。
(3)とうふう…中国発祥の東風に対する呼び方。
(4)ひがしかぜ…東から西に吹く風。春に吹く風。
(5)とんぷう…麻雀における専門用語で、場風や面風について。
それぞれの呼び方によって、微妙に意味の違いがあります。麻雀の専門用語は別扱いですが、それ以外はどれも基本的には「東から吹く風」全般について「東風」となります。これら以外にも、音楽グループ名、映画タイトル、中国の地区名称など「東風」と付く様々なケースがあります。
東風の由来
「東風」の中でも”こち”と読む場合の由来は、平安時代中頃(寛弘三年(1006))の「拾遺和歌集」によると、菅原道真が詠んだ「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」という有名な歌があり、これが発祥とされています。この時代でも、既に「東風」は”こち”と読まれ、春を告げる風とされていました。ですから、「東風」は単なる風の方角や方向ではなく、春を意味する風とするのが正しくなります。その名残として、今でも春を代表する味覚や植物に対し、「鰆ごち」「梅ごち」「桜ごち」という言葉が、主に瀬戸内地方では使われています。
東風の文章・例文
例文1.東風が強くなると春を感じ始める。
例文2.東風は春の季語だが、場合によっては夏の季語ともなる。
例文3.東風を”とうふう”と読むと中国的な使われ方になり、”とんぷう”だと麻雀用語になる。
例文4.諺の馬事東風は、人の意見や批判を聞き流すという意味で、東風の春風は暖かく馬も何も感じないとするのが、由来である。
例文5.東風を意識し始めると、卒業や入学などの過去のイベントを思い返す。
「東風」の例文は、単に東からの風という使い方もできますが、季節を意識したものが多くなります。
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東風の会話例
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東風の読み方が多過ぎて、頭が混乱するー! 何か良い方法はないかな?
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そんな時はね、身も蓋もない結論なら、基本は”こち”と呼んでいいと思うよ。
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本当に! 基本は”こち”でいいんだね。他の読み方はどうするの?
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麻雀なら”とんぷう”、子供相手や天気などは”ひがしかぜ”、中国関係は”とうふう”、稀に使うのが”あゆ”、これで簡単に覚えられるでしょう!
「東風」の様々な読み方について、どの様に読むべきかの会話内容です。
東風の類義語
「東風」の類義語には、「春風」「北風」などの言葉が挙げられます。
東風まとめ
「東風」は読み方が多く混乱しますが、基本的には”こち”と読むのが前提でその都度読み方を変えるのが好ましいです。「東風」の由来としては、春の到来などを意味する風であり、風の方向を指すのは誤りです。