楯を突く(たてをつく)
「楯を突く」とは「楯を地面に突き立てる行為から、反抗や歯向かうや反発する事」です。民主主義は大勢の意見を尊重するので正しい反面として、逆に言うなら悪い奴が大勢を説得すれば何でも通ってしまう権力の暴走も容易となる社会システムです。ですから「楯を突く」は反抗などの意味ですが、これは多数派から見た景色であり捉え方で、少数派からしたら当たり前の行為をしているだけで反抗でもなんでもないのです。そんな事情を踏まえた上で、「楯を突く」の解説となります。
楯を突くの意味とは
「楯を突く」の意味は以下の通りとなります。
(1)戦闘で楯を地面に突き立てる。防御物を設ける。
(2)反抗する。敵対する。歯向かう。
(3)「盾突く」(楯突く)も同義。
”楯”は「矢や剣など敵の攻撃を防ぐ武具」「防ぎ守る手段」、”突く”は「尖った物で一か所を刺す」「棒状の物で押す」「押し立てる」「打ち当てる」で、楯は戦闘時に用いる防具であり、それを地面に突き立てるのは相手の攻撃から身を守る事なのでこれからも戦闘を続ける意思表示として、親や目上の者などに反抗や歯向かうという意味になります。要するに、抵抗する表れが楯を地面に差す行為なのです。もし諦めたなら、楯を持ったまま逃げ出したり或いは楯を捨て去るのですが、そうはしないので反抗をする事が「楯を突く」であり「楯突く」です。戦や戦闘がない現在では、他人の意見に逆らって反対意見を述べたり、或いは反抗的な態度をするなどが「楯を突く」行為となります。他にも少数派や異端者的な振る舞いも、社会や常識などのルールに抗っているので一種の反抗行為であり「楯を突いて」います。よって、職場や学校などで明らかに間違っている出来事に対して毅然と反対するものから、単純に不良めいた社会常識への反抗も結果としてどちらも「楯を突く」となります。極論を言えば、正論や曲論などはどっちでもよく、少数派の声や意見は多数派への反抗となり「楯突いている」で片付けられるのが現在の風潮で、それは政治や大企業ではよくある出来事です。
楯を突くの由来
「楯を突く」の由来は残念ながら不明ですが、文献としては平安時代中期の仏教説話集「観智院本三宝絵」(984年)などに文言が記されています。
楯を突くの文章・例文
例文1.どんな不良でも警察学校や自衛隊に一度入校すれば、上官や先輩が怖くて楯を突くようなバカな真似はしなくなる。
例文2.娘は中学生になり最近は生意気で、食事時になると好き嫌いが激しくなり楯を突くようになったが、冷静になると可愛い反抗で安心している。
例文3.役人は市民には厳しく税金を徴収するが、輩やキャバ嬢など税払いガバガバな人達には楯を突かれるのを恐れて甘い対応となる。
例文4.深く頭を下げて、楯を突くわけではありませんと何度も謝って許してもらった。
例文5.早期退職をするようにと、やや強引に会社から説得をされたので、頭にきて楯を突く覚悟で今後は全ての会話をスマホで録音する事に決めた。
反抗するや反対にしないといった意味合いで「楯を突く」を使った例文です。
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楯を突くの会話例
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ごめん。買物をしてくるのを忘れた。
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ちょっとあんた、私に楯を突くなんていい度胸しているんじゃないの。
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そんなー。本当にうっかり忘れただけだよ。
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いーや、あんたは絶対に反抗的よ。お仕置きが必要なようね!
かかあ天下な夫婦の会話です。買物を忘れた夫に対して妻が激高してお仕置きをすると脅しています。
楯を突くの類義語
「楯を突く」の類義語には、「逆らう」「反抗」「抵抗」「抗う」などの言葉が挙げられます。
楯を突くの対義語
「楯を突く」の対義語には、「服従」「従順」「忠誠」などの言葉が挙げられます。
楯を突くまとめ
「楯を突く」は戦闘で楯を地面に突き立てる事が転じて、反抗するや歯向かうなどの意味となります。特に権力側や目上の人に納得できず逆らう様であり、命令に背いたり反抗したり敵対しています。また、社会のルールなどに従わず異端者のような振る舞いも「楯を突く」行為となります。