牧歌的(ぼっかてき)
「牧歌的」とは「牧場で暮らす子供や大人が歌いそうな歌やそんな趣の曲で、そこから、田舎らしい生活や素朴や長閑な喩え」です。アメリカのホームドラマで、まるで西部劇的な雰囲気の牧場を題材にした作品を観た記憶がありませんか? 豊かな大自然を背景に牛や馬を飼って、家族全員が伸び伸びと暮らすといった中身です。そんな温かく和やかな雰囲気が「牧歌的」からは感じられるのですが、皆さんはどうでしょうか? それでは、詳しい解説に入らせて頂きます。
牧歌的の意味とは
「牧歌的」の意味は以下の通りとなります。
(1)牧人や農民などの生活ぶりを主題とした、歌の様な素朴で叙情的な事。
(2)牧場で家畜の世話をする子供や人が歌う歌の様な生活から、素朴や長閑な喩え。
(3)自然豊かやそんな田舎でのんびりした時間を送る喩え。
”牧歌”は「牧童などが歌う歌」「牧人や農民などの生活ぶりを題材にした歌」「田園詩」となり、端的に言うなら、田舎・田舎での生活・長閑・長閑な生活・地方・故郷、さらには自然・自然豊か・ローカル・楽園などが類似であり、ある種の都会とは正反対の暮らしを称える言葉となっています。ですから、のんびりや長閑という感じが最も近く、時間に追われるサラリーマンとは違って、牛などの家畜を飼ったり田畑を耕して自然相手に生活するのんびりした暮らしに「牧歌的」と使います。従って、元々はそんな生活の子供や人の歌という事から、現在でもゆったりとしたメロディの楽曲を「牧歌的」や「牧歌的な曲」と表現する事が多いです。一方、ある種の嫌味や皮肉的に使う事もあり、地方出身者やファッションセンスが悪いだけでなく、単純に諸々のセンスが悪い、田舎や野暮ったい、素朴や野性的な人に対して都会人が揶揄する様に「牧歌的」と使います。要するに、田舎者やそんな人をバカにしているのです。まとめると、田舎そのものやそんな生活、牧場っぽい歌などの雰囲気を叙情的と称えて使う時もあれば、逆に価値観の違いから、それらを否定しても使われるという完全なる正反対の含みを持つのが「牧歌的」となっています。
牧歌的の由来
「牧歌的」の由来は、残念ながら不明です。文献としては、近代日本の小説家・小林多喜二の著書「不在地主」(1929年)などに文言が記されています。
牧歌的の文章・例文
例文1.アメリカのカントリー調な曲、アイルランドのケルトの曲などはそれこそ聴いているだけで牧歌的な風景を想像してしまう。
例文2.大都市東京でも奥多摩などは牧歌的という表現がぴったりで、この地で暮らす人々は静かな時間が流れているに違いない。
例文3.新しくやってきた転校生は、田舎過ぎる牧歌的な暮らしが心底嫌だったようで卒業するまで友達を作ろうとしなかった。
例文4.東京生まれで品川育ちなのに、なぜかクラスのお嬢様連中からは雰囲気が牧歌的と高笑いされていた。
例文5.ネルシャツにデニムを合わせれば、誰でも牧場で働くような牧歌的ファッションの完成だ。
楽曲やファッションなどで「牧歌的」を使った例文です。
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牧歌的の会話例
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二人っきりでレストランでの食事って、何年振りだろう? 本当に久しぶりだよね。
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3~4年は行ってないんじゃない。丁度、子供も手がかかる時期だったし。
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そうだね。とにかく今日は久しぶりにゆっくりと楽しもう。
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うん。ところで、あなた…。ちょっと、本当にその格好で出掛けるの? ちょっと牧歌的過ぎない? せっかく二人で高級レストランに行くんだよ。出来れば、他の服に着替えてほしいわ。
夫婦水入らずで久しぶりにレストランで食事する事になったが、妻が夫の洋服にケチをつけるというやり取りです。
牧歌的の類義語
「牧歌的」の類義語には、「田舎」「長閑」「自然」「ゆったりした雰囲気」などの言葉が挙げられます。
牧歌的まとめ
「牧歌的」とは牧場などで暮らす人々を題材にした歌であり、そんな生活ぶりを喩えた言葉です。ですから、必然的に素朴や長閑といった言葉とも似たような解釈が可能で、さらに言うなら田舎・地方・自然なども意味としては非常に近くなります。反対に、そんな暮らしぶりを田舎っぽいと揶揄する際にも用いられるので、都会人や若者からすると時代遅れ的なファッションを「牧歌的」と喩える事も多々あります。